手軽に効果!運動・ボディケア
ぽっこりおなかや姿勢を改善 プランクで体幹トレーニング
監修/森俊憲先生(ボディクエスト代表取締役)
概要・目次※クリックで移動できます。
筋力が低下すると体にはこんな変化が!
最近、次のような体の変化を感じることはありませんか?
こうした体の変化に共通する大きな原因が「筋力の低下」です。運動不足が続いたり、外出自粛やリモートワークなどで日常生活での活動量が低下したり、体を動かすことが少ないと筋肉も使われなくなるため、どんどん衰えてしまうのです。
さらに筋肉量は加齢とともに減少していきます(下グラフ参照)。積極的に筋肉を使わないまま年齢を重ねていくと、筋力が低下するリスクはより高くなると考えられます。体のエネルギー消費に関わる基礎代謝量は、筋肉の量に比例して増減します。筋肉量が少ないと基礎代謝量も少なくなり、消費エネルギーが減っていきます。食事による摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることで、太りやすく痩せにくい体になってしまうことが懸念されます。
■男性の加齢に伴う筋肉量の推移
■女性の加齢に伴う筋肉量の推移
筋トレというとムキムキに鍛えるイメージを抱く人もいますが、そこまでハードなトレーニングは必要ありません。最初に挙げたような体の変化などを予防・改善し、体力を維持するためには、腹筋や背筋、背骨を支える筋肉などを中心とした「体幹」を鍛えるだけで十分な効果が期待できます。
自分の体幹の力をチェック!
まず、自分の体幹の力がどの程度あるかチェックしてみましょう。
●チェック1 片脚バランス
- 1.背筋を伸ばしてまっすぐに立ち、腰に手を当てる。
- 2.利き足ではないほうのひざを90度に曲げ引き上げ、20秒静止する。
<判定>
次のような場合は体幹や下半身の筋肉が衰えている可能性があります。
- 20秒キープできない
- 上半身がぐらつく
- 姿勢が崩れる
●チェック2 飛行機バランス
1の片脚バランスができた人はこちらも行ってみましょう。
- 1.片脚バランスで左ひざを90度に引き上げた状態をキープする。
- 2.1の状態から上半身を前に倒し、曲げた脚をまっすぐ後ろに伸ばして、さらに10秒キープ。逆の脚も同様に行う。肩からかかとまでが一直線になるようにする。
※チェックを行う際には、平らなところで行い転倒に注意しましょう。
<判定>
次のような場合は体幹や下半身の筋肉、股関節の柔軟性が衰えている可能性があります。
- 10秒キープできない
- 体が傾く
- 脚がまっすぐに伸ばせない
(出典:『TJ MOOK 体幹を鍛える!新装版』森 俊憲/宝島社)
自分の体幹の弱さに気づいた人も、今はまだ大丈夫と分かった人も、この先も筋力を維持していくために体幹を鍛えるトレーニングをぜひ行いましょう。初心者でも取り組みやすく、効率よく体幹を鍛えるトレーニングとして特におすすめなのが「プランク」です。
腹筋を鍛えることでおなかのたるみが引き締まり、ぽっこりおなかが改善。ウエストまわりもスッキリするなどの効果が期待できます。また、背骨や腰まわりを支える筋肉にもアプローチすることで腰痛の予防にもつながります。
基本のプランク アブアイソメトリック
では、基本的なトレーニングから早速始めてみましょう。慣れてきたら徐々に取り入れたいバージョンアップの方法もご紹介します。
腹筋全体を効果的に刺激し、背中や腰部分の深層にある筋肉まで鍛えることが期待できます。
- 1.四つ這いになり、床に両ひじをつく。その後、両ひざを伸ばし、頭からかかとまで一直線にする。
- 2.1のポーズのまま、30秒キープ。呼吸は自然に続ける。「いーち、にー、さーん……」と声に出してカウントしながら行うのも効果的。
- 3.1~2を1セットとし、1回につき2~3セット行う。
<ポイント>
- 30秒キープがつらい場合や、途中で体勢が崩れる場合などは、10秒からなどできる範囲でOK。少しずつ回数を増やしていきましょう。
- このポーズそのものが取りづらい場合は、慣れてくるまで両ひざを床につけて行っても構いません。
わき腹を引き締めるツイストバージョン
基本のプランクに、わき腹のひねりを加えたトレーニングです。つま先の向きを90度ひねることによって、わき腹の筋肉を鍛えます。ウエストの引き締めやくびれ作りに効果的です。
- 1.床に横座りした姿勢から上体をひねり、両ひじを床につける。
- 2.そのまま腰を浮かせて、30秒キープ。呼吸は自然に続ける。
- 3.左右を逆にして同様に行う。
<ポイント>
- わき腹がしっかり伸びていることを感じながら行いましょう。
全身を強化するキックバージョン
腹筋はもちろん、下半身から背筋まで、全身をくまなく強化できる体幹トレーニングの決定版です。実際に行うと見た目以上にハードですが、高い運動効果が期待できます。
- 1.床にひじとひざをつけた状態から、ひざを浮かせて体全体をひじとつま先だけで支えるように伸ばす。顔は上げ、正面を向く(基本のプランクの状態)。
- 2.1の状態から、片方のひざを伸ばしたままゆっくりと上下に動作させる。脚の上げ下げ以外は体を動かさないよう全身を固定。バランスを崩さないよう注意する。
- 3.連続して10~12回行い、上げる脚を入れ替え、左右で1セット行う。
<ポイント>
- 背筋を伸ばし、体を一直線に。動作中にお尻部分が落ちないように気をつけましょう。
- 頚椎に負担がかかるのであごを上げすぎないように注意しましょう。
体幹の安定感を高める4ポイントバージョン
おなかまわりに適度な刺激を加え、体幹の安定感を高める効果が期待できます。
- 1.両手・両ひざを床につけ、つま先は立てる。肩の真下に手首、股関節の真下にひざがくるようにする。首は伸ばし、目線は斜め前に。
- 2.おなかが落ちたり背中が丸まったりしないように、両ひざを床から少し引き上げて2~3秒間キープする。
- 3.連続して10回行う。
<ポイント>
- 肩甲骨が縮こまり、翼のように飛び出さないように、背中をまっすぐ保ちましょう。
- ひざを上げるときにお尻が上がりすぎないように気をつけましょう。
筋力がつくと良い姿勢を自然と維持しやすくなるため、見た目もより若々しい印象になるメリットもあります。トレーニングのペースは毎日でなく1日おきでOKです。ただし、少なくとも3カ月程度は継続して行いましょう。基本のプランクに慣れたら、わき腹のプランクを入れるなど、少しずつ負荷を上げていくのも効果的です。すぐに効果を実感できなくても、3カ月続けた頃から見た目や体の状態などが明らかに変わってくるでしょう。
監修者プロフィール
森俊憲先生(ボディクエスト代表取締役/日本オンラインフィットネス協会代表理事)
【森俊憲(もり としのり)先生プロフィール】
ボディクエスト代表取締役
日本オンラインフィットネス協会代表理事
ボディデザイナー。インターネットを活用した独自のWEBシステムや専用アプリを開発し、受講者が自宅にいながらマンツーマンの指導・支援を受けられるオンライン上のフィットネスサービスを展開。これまでに16,000人以上への体形管理カウンセリングやパーソナルトレーニング指導を行う。企業向けの健康指導や講演、各種メディアでの企画監修などでも活躍。『へやトレ体操 在宅のひまつぶし時間でどんどん体力・免疫力アップ!』(主婦の友社)など著書多数。
外出する機会が少ない、1日中座りっぱなし……。体をあまり動かさない生活は筋力の低下を招きがちです。手軽で、効率よく筋肉を鍛えられると注目されているのが「プランク」です。プランクは、体の軸である体幹の力を強くすることで、姿勢が良くなる、おなかが引き締まる、基礎代謝がアップするなど、さまざまな効果があると言われています。基本の方法からバリエーションまで、ボディクエスト代表取締役の森俊憲先生に伺いました。