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健康レシピ&ダイエット

腸内環境を整えるカギは「シンバイオティクス」。 便秘解消、感染症防御にも!

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監修/松井輝明先生(帝京平成大学 教授)

便秘や下痢の予防・改善など整腸作用はもちろん、免疫機能につながるなど、全身の健康維持に深く関与する腸内環境。腸内環境を良い状態に保つためには、毎日の食生活で腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを整えることが大切です。そこで注目されているのが「シンバイオティクス」。シンバイオティクスとは何か、どのように取り入れていけばよいのか、帝京平成大学教授の松井輝明先生に伺いました。

腸の中には1000種類以上の細菌が!

私たちの腸の中には、1000種100兆個以上に及ぶ「腸内細菌」が菌種ごとにまとまって生息していると考えられています。その様子を顕微鏡で観察するとお花畑のように見えることから「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。

腸内フローラを形成している菌は、次の3つに大きく分類されます。

1 善玉菌

腸のぜん動運動を促してお腹の調子を整えたり、悪玉菌の侵入や増殖を防ぐ働きがある。ビフィズス菌や乳酸菌などが代表的。

2 悪玉菌

腸内に増加することで有害物質が作り出され、ガスなども発生。便秘や下痢、肌荒れなどの要因にもなりやすい。ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌(有毒株)などが代表的。

3 日和見菌

善玉菌、悪玉菌のどちらか優勢なほうの味方をする。バクテロイデス、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌などが代表的。

このうち善玉菌を効果的に増やす食事の概念として、1989年にイギリスのフラー博士が「プロバイオティクス」、94年に同国のギブソン博士と、ベルギーのロバーフロイド博士が「プレバイオティクス」をそれぞれ提唱。95年になると同じくギブソン博士とロバーフロイド博士が、プロバイオティクスとプレバイオティクスの2つを組み合わせた「シンバイオティクス」を提唱しました。

近年注目が高まっているシンバイオティクスを上手に取り入れるためには、まずプロバイオティクスとプレバイオティクスとはどのようなものなのか知ることが大切。それぞれの特徴について簡単に説明しましょう。

プロバイオティクスとプレバイオティクスの違い

プロバイオティクスとプレバイオティクスをごく簡単に説明すると、それぞれ次のような違いがあります。

●プロバイオティクス――ビフィズス菌や乳酸菌などの人の長に存在する善玉菌そのものを摂取する。腸内の善玉菌を増やす。有用菌。

●プレバイオティクス――食物繊維やオリゴ糖など、有用菌の“エサ”となるものを摂取する。腸の中の有用菌を元気にして育てる働きがある。

それぞれの定義や特徴などは次の通りです。

(※)出典:公益財団法人 腸内細菌学会/(旧)日本ビフィズス菌センターホームページ
https://bifidus-fund.jp/index.shtml

ヨーグルト+フルーツを朝食後の習慣に

先にも触れた通り、シンバイオティクスはプロバイオティクスとプレバイオティクスの2つを組み合わせたもの。生きた有用菌と、有用菌の栄養源を同時に摂取することで、腸内環境がより効果的に整い、健康増進に役立つと考えられています。

シンバイオティクスの代表的な働きとして、感染症を引き起こす可能性のある菌が腸内で異常増殖するのを抑えたり、腸管上皮のバリア機能を改善して腸内細菌が生体内に侵入するのを防ぐ作用などが挙げられます。こうしたことから医療の現場で感染防御に応用されているほか、炎症抑制などの作用も認められています。

飲料やサプリメントなど市販のシンバイオティクス製品もありますが、普段の食生活で手軽に取り入れるなら、プロバイオティクスの代表選手であるヨーグルトと、プレバイオティクス食材の一つである果物や大麦、キャベツやタマネギに代表されるオリゴ糖類などを朝食後に一緒に取るとよいでしょう。

健康の大前提として朝食を取ることが重要ですから、まずは朝食を取る習慣をつくりましょう。朝食を取ると「胃・結腸反射」が起こり、その刺激で腸が動き始めます。便秘を予防するためにも欠かせません。

また、前日の夕食から翌朝にかけて胃が空っぽの状態が続くことで胃の中の酸性度が高くなります。ヨーグルトなどに含まれるビフィズス菌や乳酸菌は強い胃酸や胆汁の影響で腸に到達する前に弱ったり死滅してしまうことがあるため、朝食を取って胃酸が薄まった食後に摂取するのがお勧めです。

自分の腸に合った“菌”なら2週間でお通じが変化!

なお、腸内フローラに生息している菌の種類やバランスは一人ひとり異なります。また、市販のヨーグルトに含まれている乳酸菌やビフィズス菌にも多くの種類や菌株があり、それぞれ効果や効能が違います。

どの種類の乳酸菌やビフィズス菌が自分の腸に適しているのか知るためには、まず1種類のヨーグルトを2週間ほど続けて食べてみましょう。効果がある場合は、一般的に食べ始めて5日目くらいからお通じに変化が表れてきます。具体的には「いきまずにスムーズに出る」「トイレの後に便臭が残らなくなる」「便の色が黄土色~茶色っぽくなる」といった変化があれば、腸内環境が改善されてきたと考えてよいでしょう。

2週間経ってもこうした変化を感じられなければ、また別の種類のヨーグルトに変更して同様に様子を見ていきます。

このように自分の腸にとって適切な食生活を続ければ、約2週間で腸内環境は良くなります。一方で、やめてしまうと元の悪い状態にすぐに戻ってしまうのもまた事実です。ヨーグルトを1日100~200gくらいを目安においしく楽しみながら、無理なく継続していきましょう。

これまでは「善玉菌を増やすこと」が腸のために大切だという考え方が主流でした。しかし、近年は、善玉菌が多いかどうかということよりも、多様性「多くの種類の細菌が腸内にいるほうが良い」という考え方が注目されています。最近の研究により、善玉菌の中にも有害な作用を併せ持つ可能性があるものが存在していたり、悪玉菌の中にも有用な働きを持つものがあったりすることがさまざまな研究でわかってきたためです。いろいろな種類の食品をなるべく数多く取るようにするなどして、バラエティに富んだ食生活をぜひ心がけましょう。

監修者プロフィール
松井輝明先生(帝京平成大学 教授)

【松井輝明(まつい てるあき)先生プロフィール】

帝京平成大学 健康メディカル学部 健康栄養学科教授・健康科学研究科 健康栄養学専攻専攻長
医学博士。日本大学医学部卒業。日本大学板橋病院消化器外来医長、日本大学医学部准教授を経て、現職。厚生労働省薬事食品衛生審議会専門委員、内閣府食品安全委員会専門委員、日本消化器病学会評議員、日本実験潰瘍学会評議員、日本高齢消化器病学会理事、日本消化吸収学会理事など歴任。著書に『日本人の大腸は「劣化」している! 大腸活のすすめ~腸は自分で変えられる~』(朝日新聞出版)がある。

サワイ健康推進課公式Twitter

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