????

手軽に効果!運動・ボディケア

3つのツボ押しで夏バテを防ぐ!

印刷する

監修/吉川 信先生(学校法人花田学園 日本鍼灸理療専門学校 附属鍼灸院 院長/一般財団法人 東洋医学研究所 主任研究員)

気温も湿度も高い日本の夏。冷房の効いた室内で長時間過ごしたり、じわじわと湿度の影響を受け続けたりすることで、思っている以上に気力や体力が低下している可能性があります。そこで注目したいのが、むくみやだるさなどの漠然とした不調や、病気として特定できない不調の改善を得意とする東洋医学です。猛暑を乗り切るために、誰でもすぐできる夏バテ予防や改善に効果的なツボ押しについて、学校法人花田学園 日本鍼灸理療専門学校 附属鍼灸院 院長の吉川 信先生に伺いました。

ツボ押しの基本、東洋医学の考え方を知ろう

ツボ押しの基本、東洋医学の考え方を知ろう

東洋医学では病気の原因のことを「病因」と呼び、このうち体の外側で発生したものを「外因」といいます。主な外因として、四季の移り変わりによる気象の変化を表す「六気(ろっき)※1」があり、風(ふう)・寒(かん)・暑(しょ)・湿(しつ)・燥(そう)・火(か)の6つに分けられます。

いずれもその文字からイメージできるように自然現象であり、それだけが健康を害する原因となることはありません。しかし、人体の抵抗力以上に六気の度合いが強くなると「六淫(ろくいん)※2」あるいは「六邪(ろくじゃ)※3」と呼ばれる状態になり、外因となる場合があります。

※1-3六気は「りっき」、六淫は「りくいん」、六邪は「りくじゃ」とも読む。

六淫あるいは六邪は次のように表されます。

  • 風邪(ふうじゃ)
  • 寒邪(かんじゃ)
  • 暑邪(しょじゃ)
  • 湿邪(しつじゃ)
  • 燥邪(そうじゃ)
  • 火邪(かじゃ)

このうち、夏に注意が必要となるのが「暑邪」と「湿邪」で、それぞれ次のような特徴があります。

暑邪――厳しい暑さにより体力が消耗。大量の発汗により、東洋医学における「水(すい)※4」が不足し、汗とともに「気※5」が漏れて、力が入らなくなる。

湿邪――湿気により「気※5・血※6・水※4」が停滞し、その部分にだるさや痛みが生じる。

※4 水:体内にある「血※6」以外のあらゆる水分のこと。「津液(しんえき)」ともいう。
※5 気:体を構成し、生命活動を維持する機能を持つ。
※6 血(けつ):脈管の中を流れ、全身に栄養を運ぶ。
出典:『いちばんわかりやすい 東洋医学の基本講座』佐藤 弘、吉川 信・著(成美堂出版、2012)

東洋医学の治療では気・血・水の状態を調べ、異常があれば正していくことが基本とされています。

夏バテの原因は「暑邪(しょじゃ)」と「湿邪(しつじゃ)」

オーバートレーニング症候群のサイン

気温だけでなく湿度も高い日本の夏においては、特に湿邪に気をつけることが大切です。湿度の高い環境の中で過ごしていると、次のようなことが起こりやすくなります。

・湿度が高いために汗が蒸発しにくくなる

・発汗が妨げられ、体内の熱を放出しにくくなる

・体内に熱がこもり、熱中症のリスクが高まる

一方、冷房を長時間使用することでも体が冷えて発汗しにくくなり、体温のコントロールが難しくなります。こうした状態が長く続くと、発汗や血管機能を調節する自律神経の働きが悪くなり、内臓の機能も低下する要因になります。

東洋医学では内臓のことを「臓腑(ぞうふ)」と呼び、5つの臓と6つの腑に分けます。

【臓】心(しん)・肺(はい)・脾(ひ)・肝(かん)・腎(じん)
【腑】胆(たん)・胃(い)・小腸(しょうちょう)・大腸(だいちょう)・膀胱(ぼうこう)・三焦(さんしょう)

湿邪は「脾胃(ひい)」と呼ばれる消化器官の働きを低下させると考えられています。暑い夏は発汗による脱水を防ぐためにもこまめな水分補給が欠かせませんが、一度に過剰な量の水分を摂取したり、冷たい飲料などを取り過ぎたりすると脾胃の機能は低下しやすい状態になります。また、体内の水分代謝が滞り、だるさやむくみなどを招く原因にもなります。

脾胃が弱ると食欲が落ちるため、元気の源であるエネルギーも不足しやすくなります。その結果、疲れやすくなり、やる気も出ないといった“夏バテ”状態になっていきます。水分や冷たいものの取り過ぎに注意する、適度な運動や入浴、温かい食べ物や飲み物などで体を温める、といった生活上の工夫に加え、脚・手・おなかのツボ押しもぜひ取り入れてみましょう。

冷えやむくみの改善には「陰陵泉(いんりょうせん)」

湿邪の予防・改善に効果が期待できるツボの1つが、ひざの内側にある「陰陵泉(いんりょうせん)」です。水分代謝を促し、消化を助け、排尿を促す作用があります。冷えや冷えによる痛み、むくみ、おなかの張り、下痢、排尿トラブルなどに効果があるとされています。

●陰陵泉(いんりょうせん)

※『WHO/WPRO標準経穴部位』(医道の日本社、2009)を参照

【ツボの位置】

ひざ下のすねの骨の内側で、脛骨(けいこつ)の内側を、くるぶしからひざへ向かってなで上げたときに指の止まるところ。

【押し方・回数】

脚と反対側の手の親指の腹をツボに押し当て、痛くて気持ちがいいと感じる強さでプッシュ。3秒×5回を目安に行う。

体に熱がこもっているときは「前谷(ぜんこく)」

湿度が高く、うまく汗が出なくて体内に熱がこもっていると感じるときは、手の小指側にあるツボ「前谷(ぜんこく)」を押してみましょう。熱っぽさや鼻づまり、肩関節や目の痛み、耳鳴りなどに効果があるとされています。

●前谷(ぜんこく)

※『WHO/WPRO標準経穴部位』(医道の日本社、2009)を参照

【ツボの位置】

手を握ったとき、小指の付け根の関節の外側にできるシワのうち、指先に近いほうの先端のくぼみ。

【押し方・回数】

反対側の手の親指の腹をツボに押し当て、痛くて気持ちがいいと感じる強さでプッシュ。3秒×5回を目安に行う。

弱った消化器の回復には「中脘(ちゅうかん)」

湿邪による脾胃の機能低下の予防・改善には、みぞおちとおへその間にあるツボ「中脘(ちゅうかん)」がおすすめです。胃の痛みや食欲不振、疲労や倦怠感などに効果があるとされています。

●中脘(ちゅうかん)

※『WHO/WPRO標準経穴部位』(医道の日本社、2009)を参照

【ツボの位置】

左右の肋骨の下縁をたどり、正中線(体の中心を通る線)で合わさったところのくぼみとおへそを結んだ線の中央。

【押し方・回数】

指3本分(人さし指、中指、薬指)の腹をツボのあたりにのせ、上から下に向かって5回程度を目安に、やさしくなでる。ゆっくり息を吐きながら行うと、リラックス効果もアップしやすい。

ツボの見つけ方や押し方のポイントは?

ツボの見つけ方や押し方のポイントは?

ツボを的確に見つけるのは難しいと思われるかもしれませんが、目的とするツボのあたりを指で押してみて、次のような感覚があればツボの目安とします。

  • 少しくぼんでいる
  • 押したところが気持ちいい。「そこそこ」と感じる
  • 押すと痛みのあるところに響く感じがする
  • 押すと症状が楽になる
  • 少し硬いと感じる(硬結)

ツボ押しをする際には、爪で皮膚を傷つけないよう、指の腹を使うのが基本です。また、ぐいぐい強く圧迫するのではなく、「ちょっと痛いけれど心地よい」と感じる程度に押しましょう。

1つのツボを長い時間刺激し続けると、筋肉を傷める場合があるので、1回につき3秒程度を目安に押すのがコツ。それを5回くり返します。ツボ押しは1日何回まで、といったルールはないので、「汗が出にくくなっている」「むくみが気になる」「疲れやすい」など症状に気づいたタイミングで行うとよいでしょう。

なお、東洋医学の治療では鍼灸のほか、漢方薬も用います。体の熱を取り、水分代謝を促し、胃腸の働きを回復する漢方薬がありますが、治療を目的とする場合は自分の体質や症状に合った漢方薬を処方してもらうことが大切です。夏バテの症状がなかなか改善しない場合は、東洋医学を専門とする医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。

監修者プロフィール
吉川 信先生(学校法人花田学園 日本鍼灸理療専門学校 附属鍼灸院 院長/一般財団法人 東洋医学研究所 主任研究員)

【吉川信(きっかわ まこと)先生プロフィール】

学校法人花田学園 日本鍼灸理療専門学校 附属鍼灸院 院長
一般財団法人 東洋医学研究所 主任研究員
1984年、はり師、きゅう師の国家資格を取得。公益財団法人日産厚生会玉川病院東洋医学内科、東京女子医科大学附属東洋医学研究所(開設準備室、同大学大学院看護研究科兼務)、早稲田大学人間科学部非常勤講師、秋田大学医学部非常勤講師などを経て、2014年4月より、学校法人花田学園日本鍼灸理療専門学校にて勤務。2015年4月より現職。『気と血の流れが1日ごとに良くなるツボ押し健康手帳』(青春出版社)など著書多数。

この記事はお役に立ちましたか?

関連記事はこちら 関連記事はこちら

クリップ一覧に保存しました。