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カンタン健康生活習慣

座りっぱなしを救う! 血流アップのカギは「ふくらはぎ」

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監修/小池弘人先生(小池統合医療クリニック 院長)

最近は在宅勤務で座りっぱなしの時間が増える一方。夕方になると脚はむくむし、肩はこるし、疲れがたまって気分までどんより。何か対策はないのかな……?

座りっぱなしで動かないと、血流が悪くなり、代謝も低下して、“不調のスパイラル”にはまってしまいます。とはいえ、運動が必要と分かってはいても、なかなか時間がとれない……。そんなときに、手軽にできる改善策が「ふくらはぎケア」です。どのように行うと効果的か、小池統合医療クリニック院長の小池弘人先生に教えていただきました。

ふくらはぎは「第2の心臓」

なんとなくすっきりしない、むくみやすい、肩がこる……そんな状態が続くようなら、血流が悪くなっているのかもしれません。在宅勤務も増えて動かなくなりがちな昨今は、そうした状態に拍車がかかっている人も少なくないでしょう。そんなときには「ふくらはぎ」のケアが有効です。

ふくらはぎは体の一番下、心臓から遠い位置にあります。体中に血液を巡らせるには、このふくらはぎから心臓へ、つまり下から上へと血液を送らなくてはなりません。通常、ふくらはぎの筋肉がポンプとなって、血液を押し上げています。こうしたことから、ふくらはぎは「第2の心臓」といわれることもあります。座りっぱなしで動かなくなると、このポンプの働きが弱り、むくんだり冷えたりする原因となります。

ふくらはぎの状態をチェック

あなたのふくらはぎの状態をチェックしてみましょう。

ひとつでも当てはまったら、改善が必要です。以下にご紹介する「お手軽ふくらはぎケア」をお試しください。

お手軽ふくらはぎケア

◆ケア1 ふくらはぎをもむ、温める

一番手軽な方法は、ふくらはぎをもむことです。ふくらはぎをもむと、ポンプ機能のサポートとなり、全体の血流が良くなります。下から上へともむのがベストですが、どのような方法であっても、もむだけで効果が期待できます。お風呂でもめば、より効果的。水分ですべりが良くなってもみやすいですし、もみながら湯船につかれば、水圧や温熱による血流改善効果も期待でき、入浴タイムが一層有効になります。また、もむときには手も動かすので、上肢の末端の刺激にもなって一石二鳥です。

◆ケア2 ツボを押す

ひざからすねの骨に沿って指4本分下(外側)に、「足三里」というツボがあります。ここは胃腸の不調、むくみ、足のトラブルなどに効くとされている場所です。このあたりで「イタ気持ちいい」ところを探して押してみましょう。ふくらはぎをもむ際に、併せてツボを刺激することで、広い健康効果を得ることが期待できます。 

足三里はお灸をすえるのもおすすめです。今は貼れるタイプの手軽なお灸なども市販されているので、そうしたものを利用してはいかがでしょうか。

◆ケア3 足を動かす

足を動かして筋肉を鍛えるのも、効果の高いケア方法です。歩くとしっかり筋肉を使うので、対策としておすすめしたい方法ですが、室内でできるエクササイズも有効です。かかとを上げ下げする、といったことを、こまめに行ってください。ふくらはぎを構成する大きな筋肉である「ヒラメ筋」を動かすことになり、ポンプ機能を強化する一助になります。

座ったままひざから下を動かすだけでもOKです。かかとを床に付けたまま、つま先を上げ下げすると、すねのあたりの筋肉(前脛骨筋)を鍛えることができて、血流促進に役立ちます。

このほか、たんぱく質をしっかりとることも大切です。筋肉の材料となることはもちろん、むくまないためにも必要です。たんぱく質が足りないと血中のアルブミンという成分が少なくなってしまいます。血管内にアルブミンが十分にあると水分が保持されますが、少ない場合は、浸透圧の原理で水分が血管外に出てしまい、むくみにつながるのです。診療時などにふくらはぎのむくみ具合を確かめると、たんぱく質の摂取具合がおおよそ分かります。たんぱく質が足りないと、へにゃっと柔らかいむくんだ状態になっています。それほど如実に現れます。

むくみ対策として、市販の着圧ストッキングの利用も浮かぶかもしれませんが、あまりおすすめできません。着けているときは楽になるかもしれませんが、ずっと圧迫し続けるのはむしろ血行不良のもとになります。短期的に使うのはいいですが、適度な使用にとどめましょう。なお、治療目的の着圧ストッキングはこの限りではありません。医師の指示に従って使ってください。

もし、血管が浮き出ているようなことがあれば、それは下肢静脈瘤の可能性が高いです。その場合は、早めに医療機関で診察を受けてください。

ふくらはぎのケアは、いつでもどこでもできる手軽なものです。今こそぜひ日常に取り入れていただきたいと思います。そして、ふくらはぎケアを意識して行うことをきっかけに、さらに別の運動習慣をつけるなど、健康への意識が広がっていくことを願っています。

監修者プロフィール
小池弘人先生(小池統合医療クリニック 院長)

【小池弘人(こいけ ひろと)先生プロフィール】】

小池統合医療クリニック院長
1995年群馬大学医学部医学科卒業、2001年群馬大学大学院医学研究科内科学系修了(医学博士)。2004年、アリゾナ大学統合医療プログラム修了。2005年より東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニック医師として統合医療外来を担当。2007年に小池統合医療クリニックを開設し現在に至る。2006年4月より群馬大学医学部非常勤講師も務めている。日本内科学会認定内科医、総合内科専門医、日本臨床検査医学会臨床検査専門医、日本統合医療学会認定医・指導医。

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