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【生活習慣編】日常生活で意識したい亜鉛摂取のポイントとは?

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監修/脇野 修先生(徳島大学大学院医歯薬学研究部 腎臓内科学分野 教授)

亜鉛は私たちの体にとって、とても大切な栄養素(ミネラル)です。しかし、現代の日本では亜鉛が不足している人が多いといわれています。もし、抜け毛や肌荒れ、食欲がない、風邪が長引くといった不調が続くようなら、それは亜鉛不足のサインかもしれません。こうした亜鉛不足を改善するために、毎日の食事や日々の生活で、どのようなことに気をつけるとよいでしょうか。徳島大学大学院医歯薬学研究部 腎臓内科学分野 教授の脇野 修先生に伺いました。

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バランスの良い食事(過度なダイエット、偏食はNG)

亜鉛は体内では作れないため、食事などで摂取する必要があります。亜鉛を含む食品はたくさんあるので、同じものばかり食べるのではなく、さまざまな食品をバランスよく食べるようにしましょう。

参考:「特集②食生活編:今日から実践!亜鉛を摂る食材選びと食生活改善のヒント

中でも、魚介類(生ガキ、さば、いわしなど)や肉類(牛や豚の赤身、レバーなど)といった動物性食品には亜鉛が豊富に含まれているので、メインのおかずに取り入れて、食べる機会を意識的に増やしたいものです。

亜鉛不足になりやすい人の食生活の特徴として、肉や魚介類を食べない、偏食・小食である、過度な食事制限をしていることが挙げられます。動物性食品をまったく口にしない、あるいは食べてもごく少量であるために、摂取する亜鉛も非常に少なくなってしまうのです。そうした人は、海藻類や豆類、ごまなどを意識的にメニューに組み込んでみましょう。あくまでも亜鉛は摂取すべき栄養素の一つにすぎません。亜鉛摂取を義務のように考えると、食事が味気ないものとなり、心理的ハードルも上がります。取り入れやすい食品から、バリエーションを広げるという考え方で試してみるとよいでしょう。

外食やコンビニ食が多い人は、おにぎりやパン、パスタといった炭水化物に偏ったり、一品料理で済ませたりしがちです。この場合、満腹感は得られても、亜鉛の摂取量が不足してしまいます。主菜を増やすのが難しければ、乳製品や卵を加える、あるいは間食にアーモンドやピーナッツなどのナッツ類をつまむといったことも、亜鉛を無理なく、継続的に摂っていく工夫の一つです。

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大量飲酒、亜鉛の吸収を阻害する食物に注意

食事などから摂った亜鉛は、主に小腸で体に吸収されます。しかし、実際に体に取り込まれる割合(吸収率)は20~40%程度と低く※1、大半が排泄物とともに体外に出ていってしまいます。亜鉛をただ摂るだけでなく、いかに効率よく体に吸収されるように摂るかがポイントになります。

また、亜鉛の吸収率は、一緒に食べるものによって変わることが分かっています。例えば、肉類や魚介類などと一緒に、クエン酸を多く含む食品(レモンなどの柑橘類)やビタミンCの豊富な食品(赤・黄ピーマン、ブロッコリーなど)を摂ると、亜鉛の吸収がより促進されるのでおすすめです。

一方、穀類や豆類に多く含まれるフィチン酸は、亜鉛の吸収を妨げると考えられています。乳製品などに含まれるカルシウム、食物繊維、コーヒー・紅茶・緑茶などに含まれるタンニンなども亜鉛の吸収を妨げる作用があります。ただ、これらは、亜鉛の吸収だけを考えると注意が必要な組み合わせですが、バランスの取れた食生活には欠かせない栄養素です。その点は理解しておきましょう。

このほか、お酒の飲み過ぎにも注意が必要です。アルコールを分解する酵素には亜鉛が必要で、飲酒量が多いほど体内で亜鉛がたくさん使われてしまいます。またアルコールには利尿作用があり、亜鉛の排泄を増加させるともいわれています。

※1:一般社団法人 日本臨床栄養学会編「亜鉛欠乏症の診療指針2024別ウィンドウで開きます」を2026年2月15日に参照

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サプリメントに頼り過ぎない亜鉛補充

ここまで亜鉛を多く含む食品や摂り方のポイントについて紹介しましたが、一度の食事で摂れる亜鉛はせいぜい5~6mg程度で、本来の1日の亜鉛摂取の推奨量は、成人男性で9.0~9.5mg、成人女性で7.0~8.0mgです※2。亜鉛欠乏症でなくても、多くの人が亜鉛不足の傾向にあるのが現状です。亜鉛をサプリメントで補いたいと考える人もいるでしょう。ただし、亜鉛は摂り過ぎると、さまざまな症状や副作用が出ることがありますので、注意が必要です。

亜鉛の1日の上限摂取量は年齢や性別によって異なりますが、それを大きく超える量の亜鉛を摂取すると、吐き気や下痢といった消化器症状、頭痛や倦怠感、貧血、善玉コレステロール(HDL)の低下などがみられる場合があります。また、亜鉛を摂り過ぎると、同じく必須微量ミネラルである銅の吸収が阻害され、銅欠乏になることもあります。亜鉛サプリメントを使用する場合は、用法・用量を必ず守るようにしましょう。

亜鉛を毎日しっかり摂るには、食事が一番です。バランスの取れた食事を心がければ、亜鉛不足が解消されるだけでなく、体に必要なほかの栄養も一緒に摂ることができます。さまざまな食品を食べ、味を楽しみながら必要な栄養をきちんと摂るのが食事の醍醐味です。それでも「少し足りていないかも」と感じたら、足りない分を補うためにサプリメントを上手に使う、と考えてみてはいかがでしょうか。

※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書別ウィンドウで開きます」:各論1エネルギー・栄養素(微量ミネラル)を2026年2月15日に参照

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亜鉛欠乏症が起こりやすい疾患の人は……

私たちの飲んでいる薬の中には、注意が必要なものがあります。一部の治療薬の中には、体内で亜鉛と結合して体外に排出してしまう「キレート作用」を持つものがあります。例えば、痛風の治療に使われる薬、抗うつ薬、糖尿病の治療薬は亜鉛の吸収を阻害したり、便の中に亜鉛を排出したりする作用があるものがあり、注意が必要です。長期間にわたってこうした薬を服用していると、亜鉛が不足して味覚異常や皮膚炎、食欲低下などの症状となって現れることがあります。薬を長く服用している場合や、複数の薬を服用している場合は血清亜鉛値(血中の亜鉛濃度)を測定し、低亜鉛血症が認められ、該当する症状があれば積極的に亜鉛を摂取するよう意識しましょう。かかりつけ医に相談し、亜鉛サプリメントで補うことを検討してもよいかもしれません。

疾患そのものが亜鉛欠乏症を引き起こしやすい場合もあります。例えば、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎など)や肝疾患(肝炎、肝硬変など)、腎疾患(慢性腎不全など)、甲状腺機能亢進症などは亜鉛欠乏を起こしやすい疾患です。自覚がなくても、すでに亜鉛欠乏が起きている可能性があるので、血清亜鉛値を一度はチェックすることをおすすめします。糖尿病※3や肝疾患※4では、亜鉛補充によって原疾患や合併症が改善したという研究結果も報告されています。亜鉛欠乏症の主な症状がなくても、かかりつけ医に相談してみましょう。

※3:Jayawardena R,Ranasinghe P,Kodithuwakku W,et al.:Zinc supplementation in prediabetes mellitus.Minerva Endocrinol(Torino),47:334-43(2022)

※4:Katayama K,Saito M,Kawaguchi T,et al.:Effect of zinc on liver cirrhosis with hyperammonemia: a preliminary randomized, placebo-controlled doubleblind trial.Nutrition,30:1409-14(2014)

亜鉛欠乏症チェックリスト

監修者プロフィール
脇野 修先生(徳島大学大学院医歯薬学研究部 腎臓内科学分野 教授)

【脇野 修(わきの しゅう)先生プロフィール】

徳島大学大学院医歯薬学研究部 腎臓内科学分野 教授、徳島大学病院腎臓内科 診療科長

1990年、慶應義塾大学医学部卒業。1999年、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) 医学部留学、2015年、慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科准教授を経て、2021年より現職。主な専門分野は腎疾患全般、透析、内分泌・代謝、高血圧。「亜鉛欠乏症の診療指針2024」作成委員長。

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