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女性が気になる症状

女性に多い甲状腺の病気

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だるさや無気力など原因不明の不調を訴える人は少なくありません。単に疲労と片付けられがちですが、その裏には甲状腺の病気が潜んでいる可能性もあります。特に女性は注意が必要です。しかし、甲状腺の病気は適切な診断と治療を受ければ怖くありません。今回は甲状腺の病気について、伊藤病院特別顧問・帝京大学医学部名誉教授の高見博先生に伺いました。

原因と症状

甲状腺の病気はおもに3種類

甲状腺はノドボトケの下にあり、蝶々のような形をしています。脳の下垂体から指令を受けて、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンを分泌するのが主な働きです。この甲状腺ホルモンの分泌に異常が起こったり、炎症が起きたりするのが甲状腺の病気で、種類は大きく3つに分けることができます。いずれも女性に多いのが特徴です。

1 甲状腺機能の異常
甲状腺の機能が亢進(こうしん 過度に高まること)してホルモンの分泌が過剰になるのが「甲状腺機能亢進症」で、代表的なものはバセドウ病です。バセドウ病の原因は自己免疫疾患と考えられており、動悸、喉(甲状腺)の腫れ、眼球が飛び出て見えることが、主な症状です。一方、甲状腺ホルモンの分泌が足りなくなるのが「甲状腺機能低下症」で、橋本病が代表格です。橋本病も自己免疫疾患が原因と考えられており、むくみやだるさ、無気力などが典型的な自覚症状になります。

2 甲状腺の炎症
甲状腺が炎症を起こす病気は3つあります。1つ目の「急性化膿性甲状腺炎」は、細菌感染によって炎症を起こし、甲状腺に痛みが出ます。次に「亜急性甲状腺炎」は原因がわかっていませんが、ウイルス説が有力です。症状としては甲状腺に腫れや痛み、しこりなどが起こります。急性と比較し、亜急性は中年女性に多く、症状も早く治ります。また、甲状腺機能の異常として紹介した橋本病(慢性甲状腺炎)も甲状腺に炎症を起こすため、甲状腺炎の1つとしても数えられます。

3 甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍の8~9割は、特に治療の必要のない良性のものです。直径2cm以下の初期の甲状腺腫瘍では、自覚症状はほとんどありません。腫瘍が大きくなると、首の腫れやしこり、ものを飲み込むときの違和感などの症状が現れることがあります。

甲状腺腫瘍は増えている?

甲状腺の病気全般は一概に増えているとは言えませんが、甲状腺腫瘍は従来と比較して、10mm以下の微小なものが多く発見されるようになりました。これは、乳がん健診時に行われる甲状腺の超音波検査の普及によるためと考えられます。これらの検査の際、甲状腺の状態もわかるため、微小な腫瘍でも発見できるようになってきたのです。また、甲状腺の病気の認知度が高まり、超音波検査を受ける方々が増えてきているのも一因となっています。

治療法とセルフケア

治療は薬物療法が中心

バセドウ病の治療は、甲状腺機能を抑える薬物療法が中心になります。個人差はありますが、ほとんどの人が2~3週間で動悸などの症状が改善します。再発防止のために、1~2年は薬を飲み続ける必要があります。
橋本病では、足りない甲状腺ホルモンを補充する薬物療法が基本です。この場合も、症状は治まっても甲状腺の機能が戻ったわけではないので、薬は飲み続ける必要があります。
急性化膿性甲状腺炎は抗生物質を投与し、亜急性甲状腺炎は痛みがひどければ痛み止めを使いますが、いずれも自然に治癒していきます。

悪性腫瘍は手術で切除・摘出

良性腫瘍の場合、基本的に治療の必要はありません。ただ、腫瘍の一部に悪性の細胞が潜んでいる可能性もあるので、1~2年に一度は検査を受けたほうがよいでしょう。悪性腫瘍の場合は、抗がん剤が効きにくいことが多く、多くは手術によって甲状腺を部分切除、またはすべてを摘出します。

甲状腺機能亢進症は安静第一

バセドウ病などの甲状腺機能亢進症は、甲状腺の機能が過剰となり、心臓に負担がかかっている状態です。激しい運動は控え、安静にすることが第一になります。症状が落ち着くまでは、散歩やウォーキングなどの軽い運動でも控えるようにしてください。また、動悸が激しくなりやすいので、長時間の入浴にも注意しましょう。

ヨードを含む食品に注意

甲状腺の病気になったとしても、特に食べてはいけないものはありません。ただし、橋本病などの甲状腺機能低下症の場合、海藻類などヨードを含む食品の食べ過ぎには注意してください。ヨードは甲状腺ホルモンの材料ですが、甲状腺機能低下症の場合、摂り過ぎると、逆に甲状腺の機能が低下してしまうのです。

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