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胃腸・肛門の痛みや不調

ストレスだけが原因だと思っていませんか?胃潰瘍(いかいよう)

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一昔前までストレスや暴飲・暴食による病気と思われてきた胃潰瘍。ところが20世紀の後半、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が発症に深く関わっていることが判明しました。さらに最近、注目されているのは解熱鎮痛薬が原因の「NSAIDs※潰瘍」です。NSAIDs潰瘍研究の第一人者である東京女子医科大学附属成人医学センター所長の前田淳教授にお話をうかがいました。

原因と症状

ピロリ菌感染に加えてNSAIDsが原因の潰瘍が増えている

胃潰瘍の典型的な症状は、空腹時のみぞおち付近の痛み、胸焼けやゲップなどの胃酸過多症状、そしてコールタールのような黒い便や貧血などです。黒い便や貧血はすでに胃からの出血がある証拠で、かなり症状が進んでいる状態です。
また、痛みには個人差があり、すでに大きな潰瘍があるにも関わらず「全然、痛くない」と言う方もいるので要注意です。

胃潰瘍の原因は暴飲・暴食や精神的なストレスと思われてきました。しかし今は、ヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)という細菌に感染すると胃粘膜が弱り、胃壁が自分の胃酸によって傷つくことなどによって潰瘍ができることがわかっています。

また、ここ数年で問題になっているのが解熱鎮痛薬が原因の「NSAIDs潰瘍」です。これは解熱鎮痛薬の副作用で胃粘膜に異常が起こり、やはり胃酸が胃壁を荒らして潰瘍を生じるもの。最近は効果に優れた鎮痛薬が薬局で購入できるので、ちょっとした頭痛や生理痛で簡単に服用しがちですが、胃潰瘍のリスクがあることはぜひ、覚えておいてください。

また中高年~高齢者で脳卒中や心筋梗塞の既往があり「血液サラサラ」状態を保つために低用量のアスピリンなどの抗凝固剤を飲んでいる方は、胃潰瘍を発症するリスクが高いので定期的な胃内視鏡の検査が必要です。

治療方法とセルフケア

ピロリ菌陽性胃潰瘍は除菌、NSAIDs潰瘍は解熱鎮痛薬の適切な服用

ピロリ菌陽性胃潰瘍は胃酸を抑える薬で治療しますが、おおもとのピロリ菌を放っておくと再発をくり返してしまいます。このため、抗菌薬を使ったピロリ菌の除菌と胃潰瘍の治療の両方を行う方法が勧められます。
ピロリ菌の診断と除菌治療は保険が使えるので、胃潰瘍を繰り返す場合は必ず、ピロリ菌の有無を調べる検査を受けてみましょう。ピロリ菌が見つかったらしめたもので、除菌治療が成功した後の再発率は激減します。

NSAIDs潰瘍の場合は一旦、潰瘍を引き起こしている解熱鎮痛薬を止め、胃酸を抑える薬を服用します。
ただ、NSAIDs潰瘍はお薬の飲み方をきちんとセルフチェックすることで予防できる疾患です。どうしても解熱鎮痛薬が必要な時は、まず、服用方法を見直してみてください。

セルフチェック! 解熱鎮痛薬の飲み方を間違えていませんか?

1つでも心当たりがある方はもう一度、薬の説明書をきちんと読みましょう。
解熱鎮痛薬はとても良いお薬ですが、飲み方を間違えると思わぬ副作用を起す可能性があります。普段から正しい服用を心がけてください。

坐薬タイプのNSAIDsでも胃潰瘍ができる!?

もう一つ注意をして欲しいのは、「坐薬タイプ」の解熱鎮痛薬でも胃潰瘍ができるということです。
薬は血液の中に「効き目成分」が溶け出すことで効果を発揮するので、投与経路が口でもおしりでも吸収された後は身体への影響は変わりません。まして、痛みを我慢できないあまりに飲み薬と坐薬を併用するようなことは避けてください。

胃潰瘍はピロリ菌の除菌やNSAIDsの適切な服用で予防できる疾患です。正しい知識を身につけて、しっかりセルフケアをしましょう。

繰り返す胃潰瘍はセルフケアで予防!

  • ピロリ菌の検査を受けてみましょう

    ピロリ菌の検査を受けてみましょう

    ピロリ菌が原因の胃潰瘍は、ピロリ菌を除菌すれば再発を防げます。一度検査を受けてみましょう。

  • NSAIDsの用法・用量(使い方や量)を守りましょう

    NSAIDsの用法・用量(使い方や量)を守りましょう

    間違った解熱鎮痛薬の飲み方がNSAIDs潰瘍を引き起こします。使用説明書をよく読んで正しく飲みましょう。

  • ストレス解消のために適度な運動を

    ストレス解消のために適度な運動を

    ストレスは胃粘膜を刺激するので胃潰瘍の進行を促進します。適度な運動で発散しましょう。

  • 暴飲暴食は控えましょう

    暴飲暴食は控えましょう

    暴飲暴食は胃に負担をかけ、粘膜を弱らせてしまいます。脂っこい料理を控え、腹八分目を心がけて。

イラスト/ワタナベモトム

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