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目・耳・鼻

スマホ時代の目に優しい生活習慣

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スマートフォン(以下スマホ)やタブレットは、今やわたしたちの生活には欠かせないもの。あればついつい触ってしまうのは、大人だけではありませんね。しかしスマホの画面を長時間見る事は、目に大きな負担となっていることも忘れてはいけません。今の時代だからこそ必要な、目に優しい生活習慣をお伝えします。

目の仕組みと近視の原因を知っておこう

目に優しい生活習慣の前に、まずは目がものを見るときの仕組みを理解しておきましょう。
カメラに例えられることが多い「目」という感覚器には、カメラのレンズにあたる角膜と水晶体があり、外界からの光を屈折させる働きがあります。角膜と水晶体で屈折した光は、網膜に映し出され、目の前にある対象を「像」として認識します。カメラでいえばフィルムの役割です。

ピントは、レンズの屈折力を調整することと、レンズ前面から網膜までの距離で合わせることができます。角膜と水晶体を通じて目の中に入った光が、きちんと網膜でピントがあっている状態のことを「正視」といい、それ以外の状態を「屈折異常」といいます。
屈折異常には「近視」「遠視」「乱視」があります。網膜よりも手前でピントが合う状態を「近視」、網膜よりも奥側でピントが合う状態を「遠視」といいます。「乱視」は、本来は球面のようになだらかな角膜が、何らかの原因でゆがんでしまい、角膜を通り抜ける光が並行に進むことができず、ピントが合わせにくくなっている状態をいいます。

生活習慣と近視、仮性近視

近視になる要因として、遺伝的要因と環境要因があります。
目には「調節」と呼ばれる機能がありますが、これはカメラでいうところのオートフォーカス機能です。遺伝的要因で近視になる人は、調節機能が働き過ぎてしまうか、あるいは網膜までの距離が合っていない状態です。
一方の環境要因は、生活環境などにより、調節機能が上手く働かなくなっている状態です。その原因の1つに、モノと目の距離が近い状態で作業をする「近業」があります。

水晶体周囲には「毛様体筋」があり、近くを見るときは水晶体を厚く、遠くを見るときは薄く、という調節をしています。しかし近業が長く続くと、目の調節機能は近距離のモノに焦点を合わせようとし、毛様体筋は常に緊張状態が続き、レンズの屈折力は手元寄りに変わってきます。一時的に近視の状態を作ってしまうのです。これを「仮性近視」と呼びます。

スマホ近視、スマホ老眼

ところで、スマホはなぜ目に大きな負担となるのでしょうか。それは、スマホがテレビやパソコンよりもずっと小さな画面であること、結果的にかなり目に近い距離で画面を見続けるという点です。スマホを見る時間が長くなるほど、目はスマホとの距離に都合の良いところにピントを合わせ続けてしまいます。つまり、ピント調節を行う毛様体筋の緊張状態が続いてしまうことになり、結果的に近視の状態を作り出してしまうのです。

尚、加齢によって水晶体や毛様体筋が硬くなり、特に手元を見るときのピント調節が上手くいかなくなる状態を老眼といい、スマホを長時間利用することで老眼と同じような状態になることを、スマホ老眼といいます。

近視を予防するためのお手軽生活習慣、トレーニング

近視の予防や、進行を抑えるためには、目にかける負担をできるだけ少なくすることが大切です。例えばスマホを使う時は

適度な明るさの下で
● 目とスマホとの距離を30cm~40cm程度離す
● 視線を少し落とすように画面を見る
● 長時間の使用の合間には毛様体筋をリラックスさせる時間をつくる

という点に注意しましょう。長時間の勉強や作業の後に固まってしまった「肩こり」をほぐすのと似ていますよね。

また、近年になり、「バイオレットライト」を浴びる時間の長さと、近視の進行具合との関係についての研究が行われています。バイオレットライトとは、紫外線に近い波長をもつ光のことで、屋外での自然光のみに含まれています。つまり、ウォーキングなどでバイオレットライトを浴びることは、近視の進行を抑える効果が期待できるのではないかと考えられています。

このように「ほんの少し気を付けて生活する」ことも、スマホ時代の目に優しい生活習慣として、ふだんの生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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