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緊張型頭痛の原因と症状:ストレスとの関連性を解説

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監修/飯ヶ谷 美峰先生(北里大学北里研究所病院 脳神経内科部長 病院長補佐(兼務))

長時間同じ姿勢で過ごし、目の疲れや倦怠感などとともに痛みが現れることが多い緊張型頭痛。頭全体が締め付けられるような痛みを伴います。身体的・精神的ストレスによって誘発されることが多く、デスクワークなどで長時間同じ姿勢をとり続けている人に起こりやすいといわれている頭痛です。本記事では、緊張型頭痛に特徴的な症状や原因、ほかの頭痛との違い、治療および予防の方法について、北里大学北里研究所病院脳神経内科部長の飯ヶ谷美峰先生に伺いました。

緊張型頭痛とは?その特徴と分類

緊張型頭痛は、脳や体には疾患や原因がなく、頭痛そのものが疾患である一次性頭痛(慢性頭痛)の一つです。ここでは、その特徴的な症状とほかの種類の頭痛との見分け方について説明します。

緊張型頭痛の特徴的な症状

緊張型頭痛の特徴的な症状は、後頭部から首筋を中心に頭全体がギューッと締め付けられるような鈍い痛み、ヘルメットをかぶっているような圧迫感、じわじわと続く鈍い痛み、などと表現されます。頭痛は、短いと30分程度、長い場合は1週間程度続きます。痛みの程度は軽度~中等度で、寝込むことはなく、日常生活への支障はそれほどありません。ただ、多くの場合、たまに生じる程度ですが、中には3カ月以上にわたり月に15日以上の頻度で症状が現れる人もいます。

頭痛が起こる頻度が少なく、日常生活に支障がなければ様子見でも大丈夫ですが、毎日のように頭痛があって、日常生活が制限される場合や、頻度・重症度が増している場合には治療が必要になります。

反復性緊張型頭痛と慢性緊張型頭痛の違い

緊張型頭痛はその発症頻度によって大きく2つに分類されます。

「国際頭痛分類第3版(ICHD-3)」の診断基準によると、緊張型頭痛の症状が月に15日未満の頻度で起こる、症状が数時間から数日間続く、症状が絶え間なく持続し、軽い吐き気を伴うこともあるといった場合は「反復性緊張型頭痛」が疑われます。一方、症状が3カ月を超え、平均して1カ月に15日以上(年間180日以上)の発作頻度であれば、「慢性緊張型頭痛」に分類されます。
頻度の高い反復性緊張型頭痛や慢性緊張型頭痛では、予防薬の内服、ストレスマネジメント、リラクセーション、理学療法などが推奨されています。

※日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会:国際頭痛分類第3版,医学書院,2018

緊張型頭痛とほかの種類の頭痛の見分け方

頭痛の原因となるような疾患がなく、長期にわたって繰り返し起こる代表的な一次性頭痛には、緊張型頭痛のほかに片頭痛、群発頭痛が挙げられます。

片頭痛では、頭の片側または両側のこめかみの辺りにズキンズキンと拍動性の痛みが起こるのが特徴です。頭痛と共に吐き気や嘔吐を伴い、光や音の刺激に対し過敏になったりします。一部の人は、頭痛が始まる直前に視界にキラキラもしくはギザギザと瞬くような光の模様が広がる「閃輝暗点(せんきあんてん)」という前兆症状が起こることもあります。

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群発頭痛では、片側の目の奥や眼球を中心に強い痛みが起こります。1回の頭痛は1~3時間ですが、1~2カ月にわたって毎日生じ、このような発作期が年に1~2度やってきます。片頭痛や緊張型頭痛に比べて、群発頭痛はまれですが、世界3大疼痛(激痛)のひとつといわれるほど非常に激しい痛みです。

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このように、頭痛の種類ごとに痛みの性質や症状はさまざまです。ご自身の頭痛の特徴を知ることが、適切な対処法を見つけるための第一歩となります。

緊張型頭痛の原因とストレスの関係

頭痛はライフスタイルと密接に関連します。中でも大きく影響するのが、日常生活で蓄積されるストレスです。

身体的・精神的ストレスが引き起こす緊張型頭痛

頭痛の大きな誘発因子であるストレスは大きく2つあります。デスクワークなどで同じ姿勢や動作を長時間続けることにより体が緊張状態になる身体的ストレスと、仕事や人間関係、生活環境の変化などから生じる精神的ストレスです。身体的・精神的なストレスを感じると、肩や首の筋肉が過度に緊張します。その状況が一定時間持続すると筋肉組織周辺の血流が悪化したり、血管の収縮が繰り返されたりして頭痛が起こります。

このように、頭痛には頭部の血管、神経、そして頭蓋を覆う筋肉が深く関わっていて、筋肉の緊張とストレスは互いに影響し合う悪循環にあるといえます。この悪循環を断ち切り、頭痛というサインになって現れる前に、日頃からストレス解消法や自分なりのリフレッシュ方法を見つけ、ストレスをため込まないことが大切です。

仕事が立て込んだ状態が続いたり、日常生活に問題を抱えていたりすると、無意識のうちに心身にストレスが蓄積して頭痛が起きやすくなります。ご自身の生活を振り返ってみて、ストレスと考えられる動作や問題点を見つけ、適切にコントロールすることが頭痛予防への第一歩となるでしょう。

ストレス以外の緊張型頭痛の原因

緊張型頭痛の誘発因子は日常生活のさまざまな場面にあります。例えば、不規則な生活習慣や睡眠不足は体調に影響を与えやすく、頭痛のリスクを高める原因になります。強い光や騒音などの環境によるもの、あるいは天候の変化や気圧の変動によって頭痛が引き起こされる場合もあります。

自分に合った予防法を見つけるために、まずは生活リズムを整えましょう。規則正しい食事や睡眠は心身のストレスを軽減して頭痛を予防するだけでなく、心身を健やかに維持するための基本となります。そして、どんな状況で頭痛が起こりやすいかという自身の傾向を知ることも大切です。小さな積み重ねが緊張型頭痛の予防につながります。

緊張型頭痛の治療法と予防法

比較的高い頻度で症状が現れる反復性緊張型頭痛、もしくは慢性緊張型頭痛で、日常生活に支障をきたす場合には治療が必要です。ここでは、頭痛の発作が起きたときの急性期治療と、予防法についてご紹介します。

緊張型頭痛の治療薬について

頭痛の発作が起きたときの急性期治療は、アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が主に使われます。筋肉のコリが強い場合は筋弛緩薬を処方することもあります。市販薬を使う場合には、薬局の薬剤師に相談するなどして、症状に合わせた適切な薬を選ぶことが大切です。また、使い方にも注意が必要です。鎮痛薬を長期的に多用していると、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛:MOH)」という新たな頭痛が起きて、頭痛の頻度が増えてきてしまうことがあるため注意しましょう。

薬に頼り過ぎず、生活習慣の改善や適度な運動、ストレスマネジメントといった根本的な対策も併せて行うことが重要です。

ストレスマネジメントと生活習慣の改善による予防法

緊張型頭痛の予防は、頭痛の原因となるストレスをいかに回避するかが重要なカギになります。そのために必要なのが、ストレスマネジメントと生活習慣の改善です。健康な身体をつくるために、規則正しい生活を送り、生活リズムを一定に維持しましょう。規則正しい睡眠習慣を実践するだけでも、ストレス軽減につながります。

食事の観点からいうと、緊張型頭痛によいとされる食べ物や、逆に誘因となる食べ物はありません。バランスよく、規則的に食事をとることを心がけましょう。

長時間同じ姿勢のままでいるのは避け、意識して体を動かして筋肉の緊張をほぐすのも大事です。深呼吸や瞑想などのリラクセーション法も、ストレスの解消や緊張状態の緩和には有用です。自分に合ったリラックス方法を見つけて、ストレス発散を心がけましょう。

慢性化した場合の対処法と専門医の受診が必要なケース

慢性化した緊張型頭痛の場合、専門医の受診が必要な場合があります。3カ月を超えて、平均して1カ月に15日以上続く頭痛がある場合は、頭痛専門医や総合内科専門医、脳神経内科、脳外科などの受診をおすすめします。日本頭痛学会Webサイト(https://www.jhsnet.net/ichiran.html別ウィンドウで開きます)の認定頭痛専門医一覧も参考になります。
慢性的な頭痛を改善するためには、かなり詳細な問診が必要になります。可能であれば、頭痛ダイアリーをつけて症状や生活習慣を記録してみましょう。ご自身がどんなときに、どのような頭痛に悩まされるのかが客観的に分かるとともに、治療を行う医師にも具体的な情報がきちんと伝わります。また、頭痛が徐々に悪化したり、新たな症状が現れたりした場合は、ほかの病気の可能性があります。ためらわずに医療機関を受診しましょう。

いわゆる「頭痛持ち」を自覚されている方も多くいらっしゃると思います。頭痛は適切な治療や予防法で痛みを軽減することが可能です。我慢せずに早めの受診を心がけることが肝要です。

監修者プロフィール
飯ヶ谷 美峰先生(北里大学北里研究所病院 脳神経内科部長 病院長補佐(兼務))

【飯ヶ谷美峰(いいがや みほ)先生プロフィール】

北里大学北里研究所病院 脳神経内科部長 病院長補佐(兼務)
1993年北里大学医学部卒業。小田原市立病院神経内科、北里大学病院神経内科などを経て、2006年より北里大学医学部神経内科学講師。2007年より北里研究所病院神経内科、2016年より脳神経内科部長。2021年より現職。日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本神経学会神経内科専門医・指導医・代議員、日本頭痛学会専門医・代議員、日本脳卒中学会専門医、日本医師会認定産業医。頭痛の生活支障度票MIDAS日本語版の開発、頭痛記録アプリ「頭痛Click®」の開発などを行い、頭痛の診療および研究に長年従事している。

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