カンタン健康生活習慣
栄養過多や、栄養不足がまねく病気とは?
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- サトウさん
- 最近、日中でも眠気やだるさを感じることがあります。確かに仕事での疲れもあるかもしれません。でも、原因はそれだけなのでしょうか。食事はちゃんと食べていると思うのですが……
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- スズキ課長
- 「食事」を1日3回摂っていても、偏った内容ならば、体のあちこちに不調が起こることはあります。人の体に必要な栄養素は、肉や魚、豆や野菜など、たくさんの食品をバランスよく摂ることで、体に取り込むことが必要なのです。
体に必要な栄養素は色々あるけれど
私たちが生きていくためには、さまざまな栄養素を食事などから摂る必要があります。例えば、タンパク質や炭水化物、脂質などは、体を作るだけではなく、日々の活動を行うためには必須となる栄養素です。これらの栄養素はそれぞれ「カロリー」となって、体の細胞を生かす、運動する、脳を使うことなどに使われています。 では、こういった栄養素だけを摂っていれば良いのでしょうか。 答えは「NO」です。 私たちの体を作る栄養素には、これ以外にも「ミネラル(無機質)」と呼ばれる栄養素があります。カルシウムや鉄、ナトリウムなどといった、使われる量はごくわずかですが、人の体の中では作ることができない栄養素です。 地球上には、100種類程度の「元素」がありますが、人体に欠かせない元素のうち水素、炭素、窒素、酸素を除いたものがミネラルです。人の体にとって必要とされているミネラル(必須ミネラル)は、現在16種類あるとされており、それぞれが多過ぎた場合、少なすぎた場合で、体に不調を来すものがたくさん含まれています。栄養素が不足すると、体はどうなるの?
例えば、貧血の人は「鉄分を含む食事を摂りなさい」という指導を受けると思います。これは、鉄が「血液を作り、体中の細胞に酸素を運ぶ」という働きの上で、非常に重要な栄養素であるためです。 この他にも、栄養素と体の不調には、次のような関連性があると言われています。- スズキ課長の
「ここでチェック!」 - 私たちの体にとって必要な栄養素でも、摂りすぎてしまうと悪い影響を及ぼす可能性があります。少なすぎてもダメですが、多過ぎてもダメ。何事も「バランス」が必要なのです。
栄養素の働きは、連携プレーで決まる
例えば、生活習慣病の一つである高血圧。高血圧は、特有の自覚症状がないため、見過ごされることが多いのですが、虚血性心疾患(心臓病)や脳血管疾患(脳卒中)など、命の危険に関わる重篤な病気の原因になります。 高血圧には、運動療法、食事療法、薬物療法と大きく3つの治療法がありますが、運動療法や食事療法で改善が見られない場合は、薬物治療が必要となります。高血圧になっている原因にもよりますが、すでに血管が変性していたり、合併症を起こす可能性が高い場合は、一生涯にわたってお薬を飲み続けることがあります。合併症を発症すれば、それに対する治療も必要ですので、飲み続けるお薬が増えるケースも出てきます。 では先ほどの表で「高血圧」に関連する栄養素をみてみましょう。この中では、ナトリウム(Na)とカルシウム(Ca)があります。高血圧予防のためにこれらの摂取量を制限するとどうなるでしょうか。 一つは、低ナトリウム血症による眠気や倦怠感、意識障害などが見られるようになります。脱水や熱中症のときに意識障害が起こるのと、同じメカニズムです。 もう一つのカルシウムは、過剰になると高血圧のリスクが高くなりますが、少なすぎると骨粗しょう症のリスクが高くなります。骨粗しょう症の発症は閉経後の女性で特に多く、これは女性ホルモン(エストロゲン)の低下によって、骨の新陳代謝のバランスが崩れることや、加齢によるカルシウム吸収量の低下することが原因とされています。しかしながら、カルシウムの摂取量は、ビタミンDの摂取量にも関係があります。骨の健康は、この2つの栄養素のバランスによって維持されているのです。 これらの栄養素は、「バランスの良い食事」を続けていれば、必然的に体の中でそれぞれの役割を果たすようにできています。ここに体の中での「連携プレー」があります。 「バランスの良い食事」とは、肉だけ野菜だけに偏らず、刺激や味覚が強すぎず、適量を摂る、ということです。このような食生活を続けていれば、高血圧などの生活習慣病や、骨折から寝たきりにつながってしまう骨粗しょう症の予防につながります。将来的に一生涯飲み続けるお薬や、受診や治療にかかる医療費、合併症の治療にかかる医療費も、減らしていくことにつながっていきます。- 栄養素の摂りすぎだけではなく、少なすぎても病気になることがあるのですね。「バランスの良い食事」って、毎日のことだから特に気を付けたいですよね。特に僕は最近、野菜が少ない気がします。ミネラルを多く含む食品には野菜や豆もたくさんあるので、気を付けて摂るようにします。
- そう、その意識が今回の差がつくポイント! これで明日もすこやか、すこやか。