????

特集(季節のテーマ)

体内時計のずれを上手にリセット、健やかな生体リズムで生活習慣病をSTOP!

印刷する

監修/大塚邦明先生(戸塚ロイヤルクリニック所長)

もともと私たちの体に備わっている生体リズム。その乱れがさまざまな不調や生活習慣病などの要因になることが、多くの研究で明らかにされてきています。生体リズムを整え、健康を保つポイントについて、東京女子医科大学特定関連施設 戸塚ロイヤルクリニック所長の大塚邦明先生に伺いました。

深夜のスマートフォンが体内時計を狂わせる!?

人間はもちろん、地球上のすべての生物が持っている「体内時計」。この時計によって、昼夜の変化に合わせて体内の環境を変動させる「生体リズム」が生み出されています。

例えば、夜になると体温や血圧、脈拍などが低くなり、朝から昼にかけて高くなるという体の仕組みも生体リズムによるものです。

生体リズムを生み出す体内時計には秒単位のものから年単位のものまでさまざまな種類がありますが、とりわけ生活習慣や健康との関わりが深いのが約24時間周期の「概日リズム(サーカディアンリズム)です。

約24時間周期というのは地球の自転のリズムによるものですが、人間の体内時計の周期はそれよりも1時間ほど長い約25時間であることが分かっています。

この1時間のずれをリセットするために欠かせないのが朝日です。朝の光に含まれる青色のスペクトル成分に、体内時計の針を進め、24時間周期に合わせることを可能にする働きがあるのです。

しかし現代社会では、本来休息すべき時間帯である夕方から深夜にかけても、スマートフォンやパソコンの液晶画面から発せられるブルーライトなどの強い光を浴びる機会が増えています。朝日と同じような光を夜にも浴びることで、体内時計は1時間、2時間と後ろにずれていくことになります。

さらに食事をとる時間が日によってまちまちだったり、睡眠不足や運動不足が続いたりすることも生体リズムを乱す大きな要因の一つ。こうした状態が続くと、健康面にもさまざまな悪影響が及ぶことになります。

生体リズムの乱れが不調を引き起こす

生体リズムが乱れると、なぜ体に不調が起こるのでしょうか。その大きな理由は、体内時計の持つ体への役割にあります。

体内時計には、脳にある「親時計」と全身の隅々の細胞にある「子時計」の2種類があります。親時計と子時計は自律神経やホルモンを介在して連動し、次のような作用をもたらしていると考えられています。

それぞれの体内時計の細胞の中には「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子が複数存在し、互いに作用して正確にリズムを刻んでいます。ところが不規則な生活が続いたりすると、時計遺伝子に異変が生じ、体内時計を狂わせてしまうことに。食欲を抑えるホルモンや食欲を促すホルモンの濃度に異常が生じることから、メタボリックシンドロームや糖尿病といった生活習慣病、がん、アルツハイマー型認知症などの病気のリスクが高まっていくことになるのです。

生体リズムを整える1日の過ごし方

体内時計を正常に動かし、健やかな体を保つためには規則正しい生活が欠かせません。「食事」「睡眠」「運動」という3大要素はどれも重要で、どれか1つでOKというわけにはいきません。それぞれ、生体リズムに合った最適なタイミングやポイントがあります。

【朝】

毎日決まった時間に起きる
→体内時計のずれをリセットできるのは朝だけ。前夜の就床時間が遅くなっても、起きる時間はできるだけ一定に。

6~7時に起き、起床後1時間以内に朝食をとる
→5時前後から血糖を上げるホルモン(コルチゾールやカテコラミン)が上昇。6~7時に起き、1時間以内に朝食をとることで血糖を下げるホルモン(インスリン)の効率が高まり、少ないインスリン量で自律神経のバランスが整いやすくなる。体内時計も活性化し、運動効率もアップする。

朝食には糖質とたんぱく質をセットでとる
→糖質をとると血中のインスリンが増え、そのシグナルによって時計遺伝子が動き、体内時計が調節される。さらに、併せてたんぱく質をとるとインスリン様成長因子が分泌され、体内時計の針の調整につながる。

朝食後~昼食前に軽い散歩をする
→ハードな運動は夕方のほうが適しているが(後述)、このタイミングで軽くウオーキングなどをすると血液中のブドウ糖がインスリンの作用で内臓や筋肉に取り込まれ、代謝が促進される。ダイエット中の人、高血糖が気になる人などに特にお勧め。

【昼】

12時前後にランチをとる
→「BMAL1(ビーマルワン)」という、食べ物を脂肪に置き換える時計遺伝子の働きが最も鈍くなる時間帯なので、肥満予防に効果的。

仕事中は90分ごとに休憩をとる
→24時間周期のサーカディアンリズムを16区分した90分周期で人間は活動している。作業効率や認知・行動機能が活性化する周期も約90分。定期的にきちんと休憩をとることでより仕事の効率がアップする可能性大。

【夕方~夜】

15~19時に有酸素運動や筋トレをする
→この時間帯が最も肺と心臓の働きが活発で、筋肉の柔軟性も高い傾向にあるため、ほとんどのスポーツにおいてベストタイミング。安全かつ効率的に体を鍛える効果が期待できる。

夕食は18~19時にとる
→味覚が1日の中でも最も敏感で、消化も促進されやすいのがこの時間帯。夕方に運動する場合は、消化の良いおにぎりなどの軽食をとっておき、運動後に夕食を。

アルコールを飲むなら20~21時に
→アルコールに対する抵抗力が最も高くなる時間帯。ただし健康のためにはアルコールはなるべく控えめにすることが大切。

就床時間は日によってバラつきがあってもOK
→体内時計の調節のためには、寝る時間よりも起きる時間のほうが重要。ただし、体内時計はもともと朝日を浴びてから約15時間以上経つと自然と眠くなるようにセットされているもの。できるだけ夜更かしは避け、早寝早起きの習慣を。
また、質の良い睡眠を得るためには、就寝1時間前くらいまでに入浴して体の深部体温を上げ、体温が下がってきたタイミングで眠りに就くのが効果的。

規則正しく生活したいと思っていても、仕事や家事などさまざまな状況によって実行できないことも多いもの。そうした場合には、1週間のうち1~2日だけでも上記のようなタイミングを参考にして、食事、睡眠、運動のリズムを整えましょう。毎週同じ曜日に行うと、体内時計のずれをリセットしやすくなります。

監修者プロフィール
大塚邦明先生(戸塚ロイヤルクリニック所長)

【大塚邦明(おおつか くにあき)先生プロフィール】

戸塚ロイヤルクリニック(東京女子医科大学特定関連施設) 所長
医学博士。九州大学医学部卒業。東京女子医科大学東医療センター内科教授、同センター病院長などを経て、2013年より東京女子医科大学名誉教授。時間医学老年総合内科(寄附臨床研究部門)を主宰。専門は循環器内科学、時間医学、老年医学、高所医学、宇宙医学。『40代女性がやってはいけないこと――体内時計を味方につけて健康になる』(春秋社)など著書多数。

サワイ健康推進課公式Twitter

この記事はお役に立ちましたか?

関連記事はこちら 関連記事はこちら

クリップ一覧に保存しました。