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咳・くしゃみ・鼻水・鼻づまり

花粉症 タイプを知ってピッタリのお薬を

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いまや国民病ともいわれる「花粉症」。2019年に行われた全国疫学調査では42.5%と、多くの方が花粉症に悩んでいることがわかりました。しかも温暖化の影響で花粉飛散量は増加傾向にあるようです。
そこで今回は、花粉症の原因と症状、そして対策をヒロオカクリニック副院長の弘岡順子先生に伺いました。

原因

花粉が引き起こす身体のアレルギー反応 春先はスギ花粉とヒノキ花粉が原因に

花粉症は花粉が原因で起こる季節性のアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の総称です。
アレルゲンとして代表的なものはスギ花粉ですが、そのほかにもブタクサ、カモガヤ、最近ではヒノキ花粉が原因として多くなっています。
スギ花粉の飛散時期は2~4月、ヒノキ花粉の飛散時期は3月中旬~5月いっぱいです。スギ花粉症患者さんの7割はヒノキ花粉に対しても敏感なので、両方の飛散時期が重なる時期(3月中旬~4月)は症状も辛くなるようです。

花粉症では最初にアレルゲン(花粉)と接した時、IgEと呼ばれる抗体がつくられます。このIgE抗体は免疫系で重要な働きをするマスト細胞の一種の表面にとどまり、花粉の再攻撃に備えています。この段階ではアレルギー症状は起こりません。
その後花粉が進入してIgE抗体に花粉が結合すると、マスト細胞その他からヒスタミンやロイコトリエンといった炎症を起こす物質を放出します。これらの炎症物質がアレルギー症状を引き起こしてしまうのです。

ただしIgE抗体を持つ全ての人が花粉症を発症するとは限りません。個人の体質や体調、自律神経やホルモンバランスによっても左右されます。
実際にIgE抗体陽性のうち何割かは無症状の「花粉症準備状態」です。発症する・しないの予想は難しいので、シーズン中は無症状の方も花粉を避ける工夫をすると安心です。

症状と治療薬

あなたの花粉症はどのタイプ?
くしゃみ・鼻水型、鼻づまり型、目の症状が強い型

花粉症の主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、かゆみなどですが、どの症状がひどいかは人により異なります。

くしゃみ・鼻水型 水道の蛇口を開けっ放しにしたかのように水溶性の鼻水が止まらない。1日10~20回以上くしゃみが出る、など。
鼻づまり型 鼻が詰まって口呼吸をしないと息苦しい、就寝中に口呼吸になるため朝方にのどが痛い、など。
目の症状が強い型 目のかゆみ、充血、涙が止まらない、など。

一口に花粉症のお薬といっても数十種類あり、症状によって処方されるお薬は異なります。あなたにピッタリのお薬を見つけましょう。

くしゃみ・鼻水型には抗ヒスタミン作用の強いお薬が効果的です。

一方、鼻づまり型は抗アレルギー薬だけでは症状が軽減しないことがあるため、点鼻薬を併用したり、気管支喘息にも使用されるロイコトリエン受容体拮抗薬が処方されることも多いようです。
目の症状が強いタイプでは飲み薬に加えて点眼薬が使われるようです。

どの症状が最もひどいかにより、有効な薬の種類が異なります。また、同様の症状があっても患者さんによって、有効な薬の種類、眠気などの副作用の出方が異なります。
例えば、ある患者さんに非常に有効な薬が他の患者さんにはほとんど無効で、眠気の副作用がひどいということもあるのです。

医師も問診により患者さんのタイプを判断しますが、医師に患者さんから症状をきちんと伝えると、より適切な治療を受けることができるでしょう。

お薬以外の対処法ではとにかく「花粉をつけない、持ち込まない、残さない」ことが大切です。
マスクは花粉を吸い込む量を減らしてくれる効果があるので、鼻症状を軽減できます。外出時のマスクは必需品ですね。
また表面に花粉がつきにくい素材のコートや帽子を身につけ、帰宅時には玄関先で脱いで全身を払うなど、部屋に花粉を持ち込まないようにしましょう。
このほか、洗顔、うがい、鼻洗浄で花粉を洗い流すのもよいでしょう。

また体調によって症状が悪化することもあるので、シーズン中はバランスのよい食事と十分な睡眠を心がけてください。

究極の治療薬

根本的な完治をめざすなら「減感作療法」より負担のすくない「舌下減感作法」も

花粉症の完治をめざす治療法として「減感作療法」があります。
ごく微量の花粉エキスを体内にいれることで免疫系を再調整し、過敏になっているIgE抗体を「鈍感」にする方法です。

日本では花粉エキスを皮下注射や舌下投与することによる「減感作療法」が行われています。
治療の期間中、最初の5~6ヶ月は1週間に1回、その後、隔週から3週間に1回と注射による投与回数を徐々に減らし、1年後には1ヶ月に1回の投与を行います。 2年目以降は効果を確立するための維持療法になります。
しかし、1年目が終了した時点で約8割の患者さんに症状の消失や軽快、薬が不要になったなどの効果がみられているそうです。

花粉エキス/食パン

また、東京都による「舌下減感作療法」の臨床試験の結果が公表されました。これは上記の注射による投与とはちがい、舌の裏側の「舌下」に微量のアレルゲンをしみこませたパンを置き、2分間放置したうえではき出す方法です(イラスト参照)。
最初の1ヶ月は毎日1回、最終的には2週間に1回の投与で2年間治療を行ったところ、142名のうち70%の患者さんで花粉症の症状が消えた、あるいは軽くなったという結果でした。
副作用としては鼻や目のかゆみ、舌の違和感などがありますが、皮下注射より簡易的な方法で同じくらい効果的だという印象を持った、と試験に参加した弘岡先生はおっしゃっています。

「舌下減感作療法」は2014年10月から保険適応になりました。投与方法や副作用のチェックのため少なくとも1ヶ月に1度の通院が必要になるとはいえ、注射が嫌い、通院できない、などの理由であきらめていた方にとっては朗報ですね

イラスト/林幸

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