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不調改善ヘルスケア

女性も男性も「貧血・めまい」に注意!

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監修/砂山聡先生(水道橋メディカルクリニック院長)

なんだか最近、ダルさが抜けなくて。ジメジメする梅雨のせいかなと思ってたら、源木さんに「顔色が悪いから貧血かも」って言われた。貧血って女性に多いと聞いてるけど、男性でもなるのかな。クラクラしたりすることはないけど、自分でできる改善法ってないのかな?

鉄不足で起こる「鉄欠乏性貧血」

女性のおよそ10%※1が貧血といわれます。ところが実は男性にも多く、特に男性の貧血の場合は、背後に大腸がんなど重大な病気が隠れていることもあるので注意が必要です。貧血は血液の赤血球の中にあるヘモグロビンが減少して起こります。ヘモグロビンは酸素を体のすみずみまで運搬するという重要な役割を担っているため、ヘモグロビンが少なくなると全身が酸欠状態になります。
体は酸素不足を解消するため、肺は酸素を取り入れようとし、心臓はたくさん血液を送ろうとして普段以上に働き、息切れや動悸が起こります。貧血が進むと、顔色が悪くなる、疲れやすくなる、めまい、足がむくむなどの症状が現われます。
貧血のほとんどは、ヘモグロビンの重要な材料である「鉄」が不足することによる鉄欠乏性貧血です。女性に貧血が多いのは、月経による出血で鉄が多く失われることや、ダイエットによる偏った食生活などの影響があるといわれています。

鉄欠乏性貧血を治すためには、とにかく鉄をたっぷり摂ることです。鉄はミネラルの中でも吸収されづらく、食品から摂取しても体内に摂り入れられるのはほんのわずか。効率よく摂取できる工夫をして、鉄の一日推定平均必要量(男性[18~64歳]6.5mg、女性[10~64歳、月経あり]8.5~10mg、同[月経なし]3~7mg)※2を毎日の食事で摂ることを目指しましょう。

貧血の症状であるめまいは、脳や耳に異常がない仮性めまいで貧血が治れば解消します。ところが真性めまいは、脳や耳の中の機能に障害が発生することで体の平衡衝感覚が鈍って発症します。メニエール病などの病気が原因のこともあるので注意が必要です。
また、「立ちくらみ」も貧血と混同されがちです。急に立ち上がったときに目の前が真っ暗になって、立っていられなくなりますが、これは脳貧血です。脳の血流量を保つための調整機能が間に合わず血圧が低下し、脳が瞬間的に酸欠状態になって起こります。一時的な症状なので、その場に静かにしゃがみ、安静にして治まるのを待ちましょう。脳貧血を予防するためには、普段からウォーキングなどで下半身を鍛えておくと脳への血液循環がよくなります。また、自律神経の乱れも原因になるのでストレスをためず睡眠や栄養バランスのよい食事など規則正しい生活を心がけるようにしましょう。

貧血はヘモグロビンの量が少ないために酸素量が慢性的に不足するもので、脳への血液循環は正常です。

※1:令和元年国民健康・栄養調査(https://www.mhlw.go.jp/content/000711007.pdf)を2024年2月16日に参照
※2:日本人の食事摂取基準2020年版( https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)を2024年2月16日に参照

貧血セルフチェック

貧血が続くと血液が全身に運ばれにくくなり、体の健康だけでなく精神的にも不安定になります。健康診断で貧血を指摘されなかったとしても、その後の生活習慣の乱れで貧血を引き起こしている可能性もあります。貧血セルフチェックをしましょう。

  • 爪がもろく、われやすい
  • ささくれができやすい
  • 切れ毛、枝毛が多い
  • 食べ物が飲み込みにくい
  • 口の端が切れる
  • 口内炎ができやすい
  • 疲れやすい
  • 少し運動をしただけで立ちくらみがする
  • 集中力がなくなった
  • イライラ、くよくよしがち

1つでもチェックがある人は、貧血に要注意!下記に紹介する貧血を予防・改善する食事法を実践しましょう。

ヘモグロビンを増やす食事法

鉄欠乏性貧血を予防・改善するためには、ヘモグロビンの材料になる鉄をしっかり摂取することです。現代では食物に含まれる鉄が少なくなった上、加工精製の過程で鉄をはじめとするミネラルが失われたりして、食品から十分な鉄が摂取しにくい食環境にあります。しかし、鉄補給の基本は食事。鉄を効率的に摂る工夫をしてたっぷり摂取しましょう。
忙しいからといって炭水化物に偏ったメニューを選んだり、ダイエットのためにと食事を減らしたりすると、鉄の摂取量が少なくなるので注意が必要です。栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。

鉄を多く含む食品をとる

鉄には、動物性食品(豚・鶏などのレバー、肉類、まぐろ・かつおなどの魚類)に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品(ほうれん草、切り干し大根など)に含まれる「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄は非ヘム鉄に比べて、腸での吸収がよいという特性があるので、まずはヘム鉄を十分に摂りましょう。
しかし、ヘム鉄の食材ばかりでは栄養バランスが悪くなるので要注意。非ヘム鉄は動物性たんぱく質と一緒に摂ると吸収力がアップするので肉類、卵、牛乳などを非ヘム鉄に組み合わせて料理するとよいでしょう。たとえば、小松菜と豚肉の炒め物やほうれん草と牛乳を組み合わせたグラタンなどです。

鉄吸収を助けるビタミンC

鉄を含む食品はビタミンCと一緒に摂ると、鉄が吸収されやすくなります。レバニラ炒めなどのように野菜と肉やレバーを一緒に摂れるメニューや、肉料理にレモンを絞ったり、食後に果物を食べるなど、ビタミンCを摂る工夫をしましょう。
ビタミンCそのものにも造血作用がありますが、その他銅、赤血球を作るもとになるたんぱく質など、まんべんなく摂りましょう。

酸味と辛味で鉄吸収アップ

胃から分泌される「胃酸」によっても鉄は吸収されやすくなります。酸味や辛味で胃の粘膜を刺激すれば、胃酸の分泌が促進されて鉄の吸収率がアップします。レモン、梅干し、酢などの酸味、赤唐辛子、辛子、わさびなどの辛味を料理の味付けに加えましょう。
また、調理に使うフライパンはテフロン加工のものではなく、鉄製を選ぶと鉄摂取に効果的です。食後の飲み物も注意が必要です。コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれるタンニンは、鉄の吸収を妨げます。タンニンの少ないほうじ茶がお勧めです。

食事の工夫で貧血は防げるのね。
食後はほうじ茶にしようっと♪

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