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その他症状

たんぱく質不足に要注意 貧血

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貧血は、月経のある女性に多い病気。 「疲れがとれない」「体がだるい」「顔色が悪い」などの不調が起こると貧血を疑いますが、それで病院に行く人は少ないようです。
ほとんどの場合、健康診断で指摘されてからはじめて病院を受診し、治療が始まります。放置しておくと、さまざまな健康リスクのもとになります。
今回は、貧血の原因や治療法について、お台場海浜公園虹橋クリニック副院長の仲眞美子先生にお話を伺いました。

原因と症状

女性の貧血の中で多いのは「鉄欠乏性貧血」

貧血は、何らかの原因によって赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の量が減ることです。貧血になると全身の細胞に酸素が行き渡りにくくなり、頭痛やだるさ、肩コリなどの症状を引き起こします。

女性の貧血の中で多いのは、鉄不足の「鉄欠乏性貧血」です。 鉄欠乏性貧血は、月経によって血液を失う女性に多く見られます。

同じ症状でも、重い病気の前兆である場合もあるので、「貧血ぐらい」と軽く考えず、血液検査を受けることをお勧めします。

また、男性が中年以降貧血になる場合は、胃がん、大腸がんなど消化器のがんが原因であることが多いので注意が必要です。

貧血の種類

● 鉄欠乏性貧血

貧血のほとんどを占める。鉄の不足により、ヘモグロビンの合成が低下して起こる。女性に多く見られる。

● 再生不良性貧血

骨髄の造血幹細胞機能不全により、血液が産生できなくなって起こる貧血。

● 巨赤芽球性貧血

ビタミンB12または葉酸の不足により、赤血球の増殖に異常をきたして起こる貧血。

● 溶血性貧血

赤血球の破壊によって起こる貧血。

体内の鉄不足で起こる「鉄欠乏性貧血」

原因と症状:体内の鉄不足で起こる「鉄欠乏性貧血」

鉄欠乏性貧血は、赤血球のヘモグロビンが鉄不足で合成されずに起こります。

鉄不足は
ダイエットや偏食などによる鉄の摂取不足
妊娠・授乳などによる鉄の必要量の増加
胃切除や、胃酸分泌低下などによる鉄の吸収低下
月経過多、潰瘍、痔など失血による鉄の排泄増加
などが原因で起こります。

月経のある日本人女性(10〜64歳)に必要と推定される鉄の量は8.5〜10mg※1。しかし、月経のある女性は、毎月20~30mgの鉄分を失っていますから、鉄は補給しなければ減る一方です。

一般的にバランスの良い食事をしていれば、1,000kcalあたりの食事で6mg、2,000kcalでは12mgの鉄を摂ることができます。一方、単純にダイエットで摂取カロリー数を減らすだけでも、鉄は不足してしまいます。

※1:日本人の食事摂取基準2020年版(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)を2024年2月16日に参照

治療方法とセルフケア

治療は食事療法と鉄剤服用が中心

血液検査で血液中のヘモグロビンの濃度を調べ、基準値以下の場合は「鉄欠乏性貧血」と診断されます。(成人女性の基準値は、12g/dl未満が貧血※2

※2:鉄剤の適性使用による貧血治療指針 改訂[第3版](https://jbis.bio/wp-content/uploads/pdf/zyouzaiv3.pdf)を2024年2月16日に参照

治療方法は食事療法と鉄剤の服用が中心です。

■ 食事療法

【ポイント1】鉄を摂る
食品に含まれる鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄に分けられます。ヘム鉄は溶けやすいため吸収されやすく、非ヘム鉄は消化吸収されにくいので、ヘム鉄で摂る方が効率的です。
  • ヘム鉄を多く含む食品
    (吸収率15~25%)

    ヘム鉄を多く含む食品(吸収率15~25%)

    肉類…豚肉・牛肉・鶏肉など

    内臓類およびレバー製品…鶏レバー、もつなど

    魚類(特に血合い部分)…かつお、いわし、まぐろなど

  • 非ヘム鉄を多く含む食品
    (吸収率2~5%)

    非ヘム鉄を多く含む食品(吸収率2~5%)

    卵類…鶏卵

    貝類…しじみ、あさりなど

    豆類…大豆、あずき、ココアなど

    緑黄色野菜…ほうれん草、小松菜など

    海藻類…ひじき、あさりなど

    果物…プルーン、レーズンなど

【ポイント2】たんぱく質を摂る
たんぱく質は、赤血球の中のヘモグロビンの材料となる栄養素ですので、鉄と同様に大切です。肉や魚のたんぱく質は、非ヘム鉄の吸収を高めます。特に、必須アミノ酸のバランスのよいたんぱく質である卵、肉は欠かさないように注意しましょう。1日の目安は、卵1個+魚1切れ+肉80g程度+豆腐半丁程度です。
【ポイント3】鉄入り補助食品を活用する
コンビニなどでも購入できる、鉄入りの飲料やお菓子などの補助食品でも、意外に鉄がたくさんとれます。鉄剤や食事で鉄を摂ることが基本ですが、こうした補助食品をおやつに取り入れるとよいでしょう。鉄剤を服用できない方には、消化器症状がでないのでおすすめです。
食事療法
【ポイント4】いろいろな食品をバランスよく食べる
ビタミンB2、B6、B12、葉酸、ビタミンCなども造血や鉄の吸収にかかせません。これらを十分に摂るには、偏食せずに3食きちんと食べることが大切です。炭水化物だけでなく、おかずをしっかり食べましょう。
【ポイント5】ヘム鉄とビタミンCを一緒に摂る
ビタミンCは非ヘム鉄を吸収しやすい形に換える助けになります。この作用は、梅干しに含まれるクエン酸や酢にもあります。

■ 鉄剤

鉄剤とは、精製した鉄粉を主原料にしたもので、食事の中に含まれる鉄よりも大量の鉄を含み、吸収されやすい状態なので、効率よく鉄を摂取することができます。

しかし、鉄剤を服用すると胃が気持ち悪くなるなどの消化器症状が出やすく、飲めない人もいます。その場合は、主治医と相談し、ほかの方法で鉄を補給します。

蛋白不足の「非鉄欠乏性貧血」が増加中!

これまでは貧血=鉄不足と考えられてきましたが、最近、鉄剤を服用しても貧血が治らない人も増えてきました。詳しく血液検査をすると、血中の総蛋白の値や、肝臓で合成されるアルブミンという蛋白が少ないことが特徴です。

この蛋白不足の原因は、まず女性が月経で毎月、血液(ヘモグロビンは蛋白と鉄が結合)を失うことで、鉄とともに蛋白も不足してしまうためです。次に、米主体から、小麦主体への食生活の変化です。米飯では必須アミノ酸が揃うのですが、麺類やパンなどの小麦では、必須アミノ酸が2種類少ないのです。さらに仕事に忙しく、食事を手軽なパンやお菓子ですます女性も多くなり、肉や魚、卵など良質のたんぱく質を摂取する機会が少なくなっていることが考えられます。

貧血対策には、鉄とともにいつも良質なたんぱく質を含む食事を心掛けることが重要です。「鉄欠乏性貧血」と診断され、鉄剤を服用しても治らない方は、より詳しい血液検査によって、蛋白やアルブミンの値を調べることをお勧めします。

イラスト/ワタナベモトム

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