監修/砂川富正先生(医学博士・国立感染症研究所感染症疫学センター第二室室長)
「今年もインフルエンザのシーズンがやってきました」とニュースで言っていたけれど、年末から年明けにかけては仕事もイベントもてんこもり。休むわけにはいかないから、インフルエンザにはかかりたくないな……。かかりにくくする方法って、あるのかな?
ひと冬に4回かかる可能性も?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症で、毎年流行を繰り返す「季節性」と突発的に流行する「新型」があります。
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3つに分けられます。
A型の流行は、例年11~12月に始まり、1~2月にピークを迎えます。一方、B型は、2月ごろから流行が始まり、5~6月ごろまで続くことが多いのが特徴。A型B型にはそれぞれ2種類あるので、ひと冬に4回かかる可能性もあるのです。
ちなみに、冬の感染症と考えられてきたインフルエンザですが、近年は春や夏にも流行したという情報を聞くことがあります。これは、インフルエンザウイルスを検出する検査技術の向上によって、以前はかぜと思われていたものがインフルエンザであると判明することが増えたことが一因です。
インフルかかりやすさチェック
同じようにインフルエンザが流行していても、かかる人とかからない人がいます。今、自分がインフルエンザにかかりやすい状態にあるかどうか、チェックしてみましょう。
- 予防接種を受けていない
- 周囲にインフルエンザにかかった人がいる
- 不特定多数の人に接触する機会が多い
- 最近忙しくて疲れ気味だ
- 睡眠不足が続いている
- 外から帰ってきても手を洗わない
チェック項目が多いほどインフルエンザにかかりやすい状態です。下記にご紹介する予防法を実践して、少しでもかかりにくい状態を目指しましょう。
インフルエンザ予防は総力戦で
インフルエンザ予防の基本は、流行前にインフルエンザワクチンの接種を受けることですが、併せて手洗いを徹底し、体調を良好に保つなどの総力戦で挑みましょう。
インフルエンザワクチンの接種
2015年/16年シーズンのワクチンからA型2種・B型2種に対応しています。ワクチンは接種した人のインフルエンザに対する免疫力を高めます。感染を完全に阻止する効果はありませんが、発症する可能性を減らし、発症しても重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があることがわかっています。
ワクチンは接種後に効果が出るまで数週間かかりますから、早めに受けるといいでしょう。効果は約5ヵ月間持続するといわれています。
接触感染を予防する手洗い
インフルエンザのウイルスがついている手やドアノブなどに触ると、ウイルスが自分の手につきます。その手を鼻や口に持っていくことで感染します。鼻や口にウイルスがつかないようにするには手洗いが一番の予防になります。
手洗いは、石けんの泡をよく立て、手のひら、手の甲、指の股や爪の先までしっかり洗い、流水で洗い流しましょう。
出先などで手洗いできない場合は、携帯できるアルコール消毒剤を活用してもいいでしょう。
飛沫感染を予防するマスク
くしゃみや咳をすると、口から飛沫(ひまつ)が飛び散ります。インフルエンザに感染した人の飛沫には、大量のインフルエンザウイルスが含まれているので、それを浴びて吸い込むと、鼻やのどからウイルスが入り込んで感染します。
インフルエンザ流行時にマスクをすることは、こうした飛沫感染を防ぐために有効です。また、自分自身が咳やくしゃみがある場合もマスクをかけることはもちろん、ティッシュやハンカチなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔を背け、周囲の人に飛沫を浴びせないようにしましょう。
疲れている時は外出を避ける
疲労やストレス、睡眠不足などで体調が低下している場合はインフルエンザウイルスに対する抵抗力も低下しています。栄養と休養を十分にとり、なるべく人ごみには出かけないようにしましょう。全身倦怠感は高熱や関節痛とならんでインフルエンザの初期症状でもあります。インフルエンザに感染していると気づかないままウイルスをまきちらすことを防ぐためにも、無理をしないことが大切です。
インフルエンザ予防も基本が大切なのね。
手洗いもきちんとしなきゃ♪