病気と医療の知って得する豆知識
どこでも診療が受けられるって本当なの?
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サトウさん
- 最近、「オンライン診療」という言葉を目にします。
家に居ながらにして医師の診療を受けられるって、かなり便利ですよね。
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スズキ課長
- テクノロジーの発展により、ビデオチャットなどのアプリを通じた診療を受けることができるようになってきているのは事実です。でも、色々と条件があるようですよ。
自宅で受診できるオンライン診療とは?
オンライン診療とは文字通り、クリニックなどの医療機関と自宅などの離れた場所を、インターネットなどを介して繋ぎ、スマートフォンやタブレットといった情報通信機器を通して診療を行う仕組みです。患者は、自宅や施設など、医療機関とは異なる場所からオンラインで医療機関にアクセスします。医師はこの通信を介して患者の状態を判断し、健康状態の改善や健康増進、医療、介護といったそれぞれの患者に合った診察や指導、投薬(処方箋の作成)を行います。
オンライン診療 イメージ
今すぐオンライン診療を利用できるのはどんな人?
オンライン診療ではそもそも、「へき地や離島などの過疎地における医療支援」が想定されていました。しかし、2015年に厚生労働省から「へき地や離島に限定しない」と解釈できる通達が出されたことにより、日本中どこにいても、ビデオ通話機能を使った診療を受けることが可能となりました。
当初は、オンライン診療の対象となるのは再診のみとされていましたが、2022年1月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が一部改訂され、初診からのオンライン診療が認められるようになりました。初診は原則として「かかりつけの医師」が行いますが、過去のカルテやお薬手帳などから患者の医学的情報を十分に把握できる場合は、かかりつけ以外の医師でも初診を実施できます。患者の医学的情報を十分に把握できない状態において、かかりつけ以外の医師が初診でオンライン診療を行う場合は、オンライン診療を実施する前に「診療前相談」が必要になります。これは、医師と患者がビデオ通話を行って、症状や医学的情報を確認し、オンライン診療が可能かどうか判断するためのものです。
オンライン診療は、対面診療を適切に組み合わせることが原則とされています。また、オンライン診療では診断が難しい場合や、処方することができない薬もあるため、医師が対面診療を勧める場合もあります。
服薬指導もオンラインで可能に
2018年4月に行われた診療報酬の改定で初めて、オンライン診療の診療報酬が定められました。オンライン診療の対象となる疾患は限定されており、まずは小さな範囲からのスタートでした。しかし、現在では対象疾患も広がっています。
2023年3月時点では、日本医学会連合「オンライン診療の初診に適さない症状」などを踏まえて、医師がオンライン診療を実施可能かどうか判断することとされています。例えば、緊急性が高くて直ちに対面診療が必要と考えられる症状や、医療機関での検査が必要な状態などは、オンライン診療に適さないとされています。
また、オンライン診療の範囲が拡大することで期待されているのが、オンラインによる服薬指導や処方箋の発行です。従来、オンライン診療では、処方箋の原本が患者の自宅へ郵送され、処方箋の有効期限内に最寄りの調剤薬局へ処方箋を持っていかなければなりませんでした。しかし、医薬品医療機器等法が改正され、2020年9月からは一定の要件のもと、オンライン診療や訪問診療の際に交付された処方箋に基づき、ビデオ通話などによるオンラインでの服薬指導が可能になっています。薬は配送で受け取ることも可能です。
オンライン診療が可能な範囲は年々少しずつ広がっており、利用しやすくなっています。オンライン服薬指導と合わせれば、診察から薬の受け取りまで、すべてオンラインで済ませられる場合もあります。対面診療でなければ診断・治療できない病気もありますが、今後ますますオンライン診療が普及し、通院しなくてもよい場合は通院せず自宅から受診する、というケースが増えていくかもしれません。
- 遠隔診療ができるようになったといっても、やはり最初はきちんと対面での診療が必要なのですね。でも、お薬の面も遠隔診療の良さが発揮できれば、もっと便利になるかもしれません。今後の動きに期待したいです。
- オンライン診療が少しずつ利用しやすくなってきているのですね。今後の動きにも期待したいです。