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手足・腕・肩・腰

足先のトラブル解消法

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監修/菊池守先生(下北沢病院院長・日本形成外科学会専門医・医学博士)

暖かくなってきたら、散歩やハイキングにも出かけたいなあ。
でも、ちょっと歩くとすぐ疲れちゃう。歩き方が悪いのかなあ。

足は色々なトラブルを抱えがち

春になると外出の機会も増えるもの。ところが、歩くと足が痛い、疲れやすい、足の形が変わってきた……など足にトラブルがあると、せっかくの外出も憂うつに。
足は、全体重を支えるというハードワークに加えて、靴が足に合っていないことが多く、様々なトラブルが起こりがち。今回はそんな、誰もがなりうる足先のトラブルについてお話しします。

加齢とともに足裏はペタンコに

足裏中央部には、通常「土踏まず」と呼ばれるアーチ状のくぼみがあります。このアーチがなく、足裏が平らになっているのがいわゆる「偏平足」ですが、多くの人は加齢とともにアーチがつぶれて、偏平足気味になってきます。
というのも、このアーチを支えているのは足の筋肉や靱帯で、特に筋力は加齢とともに衰えるため。加えて、現代人は大半が運動不足で、足の筋肉を使うことが少なくなっています。また、体重が増えると、足裏の負担が大きくなります。こうした理由で、足裏のアーチは崩れる一方に。
さらに女性は出産時、産道を広げるために骨盤周りの靱帯がホルモンの作用で緩みます。そのため、出産を経た女性にも、足裏が平らな人が増えてくるのです。
土踏まずのアーチ構造には、歩くときのバネになったり、地面の衝撃を吸収する働きがありますが、平らな足ではこれらの働きが得られないため、足に負荷がかかります。そのため、足が疲れやすくなります。また、体全体のバランスも崩れがちになるため、ひざや腰の痛みを招くことにも。冷えやむくみにつながったり、太りやすくなることもあるのです。

ハイヒール以外でも外反母趾に

「外反母趾」は、足の親指の先が人差し指側に曲がり、それにともなって、親指の付け根の関節が反対の足側に出っ張って痛みを生じるものです。また、親指でなく小指が内側に曲がることで、小指の付け根の関節が外に出っ張る「内反小趾ないはんしょうし」もあります。いずれも、ハイヒールなど先のとがった靴を履くことが大きな要因で、女性に多い症状です。
しかし、これらの症状は足裏のアーチの崩れからも起こるのです。土踏まずのアーチがあれば、親指の付け根の「母趾球ぼしきゅう」部分にある関節はよく曲がり、効率のよい歩き方ができるのですが、アーチがつぶれているとこの関節が押され、うまく上に曲がりません。これを解消しようと親指が内側に曲がっていくため、外反母趾になるのです。また、アーチがつぶれれば足全体が平べったくなり、靴に押されやすくなるため、そこから外反母趾がいはんぼし内反小趾ないはんしょうしになることも。ですから、ハイヒールを履かない女性や、男性も要注意です。

合わない靴でタコや爪の炎症に

靴が合っていないことで起こる足のトラブルも、たくさんあります。 足が痛くなるからと、実際のサイズより大きな靴を選ぶ人が多いのですが、靴が大きいと中で足がずれてこすれるため、よけいに痛みが出て、タコもできやすくなります。タコは放置すると魚の目などになり、強い痛みが出ることにも。できてしまったら、角質ヤスリなどで早めに削りましょう。 また、大きな靴だと、前すべりして足の指先が靴の先端に当たり続けるため、爪がぶ厚くなる「爪肥厚ひこうそう」になることも。逆に、小さめの靴や形の合わない靴を履き、爪が皮膚に食い込む「陥入爪かんにゅうそう」になるケースもあります。靴は、形とサイズがしっかり合ったものを選ぶことが大切です。

巻き爪は運動不足が原因

爪には元々、内側に巻こうとする力が働いています。これは、歩く際に足が地面から受ける衝撃を、爪が抑え込む役目を果たしているため。ところが、運動不足で歩くことが少ないと、地面からの衝撃よりも爪が巻く力が上回り、内側にまで巻いていく「巻き爪」になってしまうのです。近年は運動不足の人が多いことから、巻き爪が非常に増えています。普段からしっかり歩くことを心がけましょう。
巻き爪は、ワイヤーなどで治療する方法も。痛みがひどい人は、皮膚科や形成外科、フットケア外来などを受診することをオススメします。

かゆくない水虫もある

暖かくなる春先以降、注意してほしいのが水虫です。水虫はかゆいものと思い込んでいる人もいますが、まったくかゆみのない水虫も。足裏に、水ぶくれの皮がはがれたようなものが見られたら、一度皮膚科を受診しましょう。入浴時も、足はあまり丁寧に洗っていない人が多いのですが、足指まで石けんで洗い、入浴後に指の間までしっかり拭くことが大切です。

足の老化度チェック!

こうした足のトラブルを防ぐため、ときどきはあぐらをかき、足裏に水ぶくれのようなものやタコがないか確認しましょう。ただし、足裏のアーチは、つぶれていても自分では気づかないという人が多いもの。あなたの足は大丈夫でしょうか。次のような状態がないかチェックしてみてください。

  • 立った状態で、土踏まずのすき間にボールペンの先を3㎝ほど入れようとしたとき、スムーズに入らない
  • 靴のかかとの内側が減っている
  • アキレス腱が硬い
  • しゃがむことができない
  • 足がつりやすい
  • 歩き出しの1歩目で、かかとが痛い

足裏のアーチがつぶれてくると、かかと周りの関節が崩れてかかとが外側に向くため、内側重心になります。靴は、通常外側から減っていきますが、内側が減っていたら、すでにアーチがつぶれ、偏平足気味になっているかもしれません。
また、偏平足だと足に負担がかかって疲れやすいため、アキレス腱が硬くなり、足がつりやすくなり、かかとに痛みが出ることもあります。逆に、アキレス腱が硬いと足首周りも硬くなるため、歩行時に足がうまく返せず、アーチをつぶすような歩き方になり、偏平足になっていくとも言えます。

普段から次のような点を意識して足の老化を予防し、トラブルを回避しましょう。

アキレス腱のストレッチをする

偏平足で足が疲れたときのケア、また偏平足予防のためにも、アキレス腱のストレッチは重要。ところが、多くの人がアキレス腱を正しく伸ばせていません。以下のような要領で確実に伸ばしましょう。

  1. 1 つま先を壁に対して垂直に保ちながら、足を肩幅程度に広げ、ひじをまっすぐ伸ばして壁に手をつける。
  2. 2 かかとを床につけたまま、伸ばす足を後ろに下げる。
  3. 3 前の足のひざをゆっくり曲げ、アキレス腱がやや突っ張る程度の状態でキープ。反動はつけずにジワーッと伸ばす。

片足10秒ずつ3回、1日3セット以上を目標に行ないましょう。

足指グーパーで筋力アップ

足裏のアーチがなくなってしまうのは、足の筋力低下が一因。足の筋力アップのため「足指グーパー」のエクササイズをしましょう。裸足になり、足でじゃんけんのグーとパーをするように、足指を曲げ伸ばしします。オフィスのデスク下などで、こっそり靴だけ脱いで行なっても。グーパーをセットで1回として30回、1日3セット程度行ないましょう。足指を使う感覚をつかむことも大切なので、五本指ソックスもオススメです。

インソールでアーチをつくる

靴にインソールを敷くことで足裏をアーチ状に保てれば、外反母趾や足の疲れを防ぐことができます。土踏まず部分が盛り上がった「内側アーチサポート」のあるインソールが市販されているので、利用しましょう。
また整形外科等で、医療用インソールを作ってくれるところもあります。レントゲンを取り、その人の足に合わせて作るため、偏平足からタコまで、足トラブルの解消に大きく役立ちます。欧米では、妊婦さんが出産で靱帯がゆるむため、インソールを入れる習慣もあるそうです。

足に合う靴をしっかり選ぶ

靴は、ジャストサイズのものを選びましょう。同じサイズでも、メーカーによってかなり違いがあるので、私は23cmなどと決めつけず、前後のサイズを試してみるのがオススメです。また女性に多いのが、自分の足幅に合っていない、幅の広いハイヒールで足が前滑りし、足先が当たって痛くなっているケース。これを、幅が細いせいで痛いと勘違いし、さらに太い靴を選んでしまう悪循環を、多くの女性が気づかずにやっています。靴屋さんでは、足に合っているかどうか、店員さんに確認してもらいましょう。今は靴の通販などもありますが、試し履きは必須なので、返品できないものを買うのは避けたいものです。
また、足の中央部が固定された靴は、足が安定します。紐靴であれば紐をしっかり締める。ハイヒールならアンクルストラップのあるものを選ぶと、足への負担は軽くなります。

足をよく見てしっかりケアしなきゃ。トラブルを解消して、この春は元気にお出かけしようっと。

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