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健康レシピ&ダイエット

‟飲む点滴”甘酒で 夏バテや便秘を予防!

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監修/今津嘉宏先生(芝大門いまづクリニック院長)

昔から多くの人々に親しまれてきた、日本の伝統的飲料「甘酒」。近年は「飲む点滴」としてその健康効果が注目を集めています。どのような栄養成分が含まれているのか、またどんな飲み方をするとより効果的なのか、芝大門いまづクリニックの今津嘉宏先生に伺いました。

甘酒にはお米の栄養分がぎゅっと凝縮!

暑さで食欲が減退しやすい夏は、炊きたてのご飯を食べる機会が減りませんか。また、「お米は糖質(炭水化物)が多いから」と、ダイエットのために食べないようにしている人も少なくないでしょう。

しかし、主食であるお米の糖質(炭水化物)は体や脳を働かせるために不可欠なエネルギー源の一つ。さらに炭水化物以外にも食物繊維やたんぱく質、ビタミンB群、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛といったミネラルなどさまざまな栄養素がお米には含まれています。

こうしたお米の栄養がぎゅっと凝縮されているのが、健康維持に役立つ飲み物として近年人気を集めている発酵食品、甘酒です。炭水化物は白米37.1に対し甘酒18.3(100g中)、食物繊維は白米1.5に対して甘酒0.4(100g中)と、甘酒は炭水化物が少なく食物繊維が豊富です。ご飯を食べることができないときでも手軽においしく飲めて、必要な栄養をしっかり摂取できることは、大きなメリットといえるでしょう。

自然な甘みの「米麹甘酒」、栄養価が高い「酒粕甘酒」

甘酒の作り方は大きく分けて2種類。米麹を使って発酵させた「米麹甘酒」と、酒粕で作る「酒粕甘酒」があります。含まれている成分は似ていますが、それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

●米麹甘酒の特徴

麹菌が繁殖する際に多くの酵素が分泌されます。その酵素によって米に含まれるでんぷんが分解され、脳や体のエネルギー源となるブドウ糖などに変化します。ブドウ糖は点滴に欠かせない成分の一つであることから、米麹甘酒が「飲む点滴」と呼ばれるようになったという説もあります。

ブドウ糖によって砂糖などを足さなくても自然な甘味を感じられるのも、米麹の特徴です。さらに米のたんぱく質から作られるアミノ酸は甘酒のうま味のもとになります。

●酒粕甘酒の特徴

酒粕は、酒米を醸造させて日本酒を作る過程で、もろみを搾った後に残る‟副産物”。白色の固形物で、板状や練り状などさまざまな形状で市販されています。

酒粕甘酒はこの酒粕を溶かし、砂糖などの甘味を足して作られたもの。なぜ甘味を足すかというと、もろみを搾った後の酒粕には糖質があまり含まれていないからです。

一方で、日本酒を造る際に酒粕は、麹菌と酵母菌の2種類の菌を発酵させているため栄養価が高いのがメリット。特に食物繊維やビタミンB群、たんぱく質などが多く含まれています。ただし甘酒にした場合もアルコール分は酒粕の10%強残るといわれ、煮沸してアルコール分を飛ばしてもごくわずかな量が残ります。アルコールを受け付けない体質の人は避けたほうがよいでしょう。

疲労回復や整腸などの効果に、特に期待大

夏バテ予防や疲労回復などに効果が期待できるのは、米麹甘酒と酒粕甘酒のどちらにも含まれる「アミノ酸」と「ビタミンB群」の働きです。

●アミノ酸

アミノ酸は体のエネルギー源として不可欠な成分で、疲労回復や体力増強、筋肉量の増加などさまざまな働きを担っています。体内で作ることのできない必須アミノ酸が含まれているほか、酵素によって体に吸収されやすい形に分解されているため効率よく摂取することができます。

●ビタミンB群

糖の代謝や脂肪の燃焼を促す作用があり、高血糖や高コレステロールなどを改善する効果が期待できます。またエネルギー代謝にも重要な役割を担っており、ビタミンB群が不足することで疲れやすくなったり、だるさを感じやすくなったりすることも。甘酒をコンスタントに取ることで疲労による不調の予防効果が期待できます。

そして整腸作用に活躍するのが「食物繊維」と「菌」の働き。腸内環境を整えてくれます。

●食物繊維

腸内の善玉菌のエサとなって善玉菌を増やすほか、便通にも効果的です。便のかさを増やし、スムーズな排便を促す、腸内の有害物質を吸着して便とともに排出するといった働きがあります。さらに、食物繊維が分解されてできた短鎖脂肪酸(酪酸)が大腸の粘膜で細胞の増殖などのエネルギー源になり、ポリープや腫瘍などの発症を防ぐと言われています。

●菌

甘酒には麹菌や酵母などの「菌」も多く含まれています。これらの菌のほとんどは胃を通過する際に胃酸で死んでしまいますが、死骸は腸の中で善玉菌の栄養分となります。結果的に善玉菌を増やすことになり、腸内環境の改善に役立つと考えられます。

適量を毎日コンスタントに取ることが大事

疲れがたまっていたり、あるいは便秘しがちだったりするからといって、一度にたくさんの甘酒を飲んでも即効性は期待できません。大量摂取は糖質の取り過ぎやカロリー過多につながる場合もあるので気をつけましょう。

健康効果を得るために大切なことは、適量をコンスタントに摂取すること。1日当たり100~200mlの甘酒を目安に取りましょう。

また、コップ1杯の甘酒に大さじ1杯の無糖ヨーグルトをプラスするといったアレンジもお勧めです。動物性の発酵食品を組み合わせることで甘酒だけでは不足しがちな脂質を補ったり、たんぱく質をさらに増やしたりすることが可能になります。

また、甘酒に含まれる成分は加熱してもほとんど変化しないので、味噌汁の仕上げに大さじ1杯くらいプラスするのもお勧めです。コクが増し、いつもとは違った味わいが楽しめます。

体に良い習慣を続けるためには楽しむことも大切です。自分好みの味にアレンジしてバリエーションを広げると、楽しみながら継続できるはず。体調の変化も実感しやすくなるでしょう。

監修者プロフィール
今津嘉宏先生(芝大門いまづクリニック院長)

【今津嘉宏(いまづ よしひろ)先生プロフィール】

芝大門いまづクリニック院長
恩賜財団東京都済生会中央病院外科副院長、慶應義塾大学医学部漢方医学センター助教などを経て2013年に芝大門いまづクリニックを開院。日本消化器病学会専門医、日本外科学会専門医。『長生き朝ごはん‐病気知らずの名医が食べている‐』(ワニブックス、共著)など著書多数。

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