3月1日~8日は「女性の健康週間」なんだって。たしかに、子宮がんや乳がんなど、女性特有の病気って多いよなあ。ところでどうして女性の方が寿命が長いんだろう。女性の方が男性より、か弱そうに見えるんだけど……?
世界的に女性の方が長生き
日本は世界一の長寿国と言われます。2020年の厚生労働省調査によると、女性の平均寿命は87.74歳と世界一。男性も81.64歳で世界2位の長寿を誇りますが、その平均寿命の差は約6歳もあります。
実は、女性の寿命が男性より長いのは日本だけではなく、世界的な傾向。WHO(世界保健機関)が発表した2021年版世界保健統計によると、平均寿命も年齢差はまちまちですが、先進国、開発途上国を問わず、すべて女性の方が長寿。
女性が男性よりも長生きするようになったのは最近のことではなく、1891年~1898年(明治24年~31年)の資料では男性42.8歳、女性44.3歳となっており、当時から女性の方が長寿だったことがわかります。
かかりやすい病気にも違いが
病気によっては男女でかかりやすさの違うものがあり、寿命が長いといってもすべての病気で女性の方がかかりにくいわけではありません。生殖器に関連するもの以外では、男性がかかりやすい病気の代表的なものが「痛風」、女性がかかりやすい病気の代表が「骨粗しょう症」です。そして、日本人の、死因のトップ3である「がん」「心疾患(心筋梗塞や狭心症)」「肺炎」はいずれも男性の方が患者数が多いので、こうした病気にかかりにくいことが、女性の寿命が長い一因といえるかもしれません。
さらに、女性の方がかかりやすい病気には「骨粗しょう症」のほか、「アルツハイマー病」「関節症」などがあり、高齢になってからかかることから健康寿命(日常生活に支障がなく自立して過ごせる期間。2016年で74.79歳)が長くなる傾向があります。
このように男性より女性の方が健康寿命が長い病気にかかりやすいことも女性の平均寿命が長い一因だと考えられます。
【男性の方が多い病気の例】
痛風、胃がん、心筋梗塞、狭心症、肺炎、アルコール性肝炎、尿路結石症…など
【女性の方が多い病気の例】
骨粗しょう症、アルツハイマー病、関節症、高脂血症、カンジダ症、膀胱炎、甲状腺炎…など
男性も知って得する長寿の理由
女性が男性より長生きする理由について、さまざまな研究によってわかってきたポイントと、男性にも応用できる方法をご紹介します。
ポイント①
ホルモンの働き女性ホルモンの「エストロゲン」には血圧を下げたり、悪玉コレステロールの血中濃度を下げたりする働きがあり、閉経前の女性に心疾患が少ないのはそのためと考えられています。また、男女ともに脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」というホルモンには、動脈硬化を抑える作用があり、長寿の女性ではこの数値が高いことがわかっています。
体脂肪が増えすぎても減り過ぎても「アディポネクチン」の分泌が低下するため、太り過ぎ、痩せ過ぎを解消することで、男性でも「アディポネクチン」を増やすことができます。
ポイント②
基礎代謝が少ない基礎代謝とは、生きていくために必要な最低限のエネルギーのこと。女性の方が男性より基礎代謝が低く、女性の方が男性より少ないエネルギーで生きていけるため、環境の変化に適応しやすいことも長寿につながっているのではと言われています。
また、基礎代謝量が少ないと、それだけ老化を促す活性酸素ができにくくなることも長寿の点ではメリットです。男性は活性酸素の発生を促進する激しい運動や喫煙、紫外線をなるべく避けるようにすると良いでしょう。
ポイント③
健康状態を気にする男性より女性の方が医療機関を受診する頻度が高いという統計があります。また、女性の方が食事で栄養バランスに注意したり、アルコールの摂取が少なかったり、自分の生活習慣を見つめ健康に気を遣う傾向があります。その傾向が、女性の寿命を延ばしている可能性があると考えられています。
女性の場合は鏡を見る回数も多く、月経のリズムもあることから、男性よりも自分の健康状態を気にする習慣が身についていると言えそうです。男性も普段から健康状態に注意して、異常を感じたら早めに受診するようにしましょう。
参考/厚生労働省「患者調査」(平成26年)
かかりやすい病気に気を付けて
いつまでも健康でいたいな♪