咳・くしゃみ・鼻水・鼻づまり
咳をラクにするツボ
監修/古賀直樹(こが なおき)先生
寒さが厳しくなり、空気が乾燥するこの時期は、風邪をひきやすく、体調を崩しやすい時。加湿器を使ったり、マスクをして十分に気をつけているつもりでも、何かと慌ただしく忙しいこの時期は、寝不足や疲れで免疫力が低下し、うっかり風邪をひいてしまうなんてことも。そんな風邪のひきはじめに出る症状のひとつが“咳”。のどや胸の痛みにつながるだけでなく、咳が続くと夜も眠れず睡眠不足にも……。そんな辛い咳をラクにするツボをご紹介します。
咳はなぜおこる?
私たちは呼吸をするとき、鼻や口から空気を取り込みます。その空気中には、チリや小さなホコリ、細菌やウイルスなどが含まれていることも多く、これらの異物が肺や気管などの呼吸器に侵入するのを防ぐために、体が防御反応として溜め込んだ空気を一気に押し出すことで出るのが“咳”です。鼻や口から何らかの異物が入り込むと、咽頭や器官、気管支などの気道粘膜の表面にあるセンサーが異常を感じ取り、脳の咳中枢に刺激が伝わり、横隔膜や肋骨の間にある筋肉に指令が送られて“咳”が出ます。これらの一連の反応は反射的に起きるので、『咳反射』ともいわれています。
咳を放っておくと?
咳は体にとって大きな負荷になります。咳をすることで非常に大きな負担がのどや胸にかかり、咳をし過ぎることで気道周辺の炎症や、場合によっては肋骨の骨折を引き起こすケースもあります。咳の原因がインフルエンザや風邪ならば、適切な治療を受ければ治まります。注意しなければならないのは、長引く咳をそのままにすることです。特にひどい咳が8週間以上続くことを『慢性咳嗽(まんせいがいそう)』といい、そのような場合は専門医のもとで適切な検査や診断、治療を受けることをオススメします。
尺沢(しゃくたく)
東洋医学では咳に関係する『肺の気の流れ』の上にあるツボといわれ、昔から咳に効果があるとされるツボ。
場所 |
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肘を曲げると出来る内側のシワの上で、シワの中央から指約2本分親指側にいった、かたい腱の外側にあるツボ。 |
押し方 |
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ツボと反対の手で内側から肘を包み込むようにして、親指で少し強めにツボを押し、拳を頬に当てるようなイメージで、10〜20回程度、肘を曲げたり伸ばしたりする。 |
中府(ちゅうふ)
東洋医学の『肺の気の流れ』の上にあるツボで、呼吸の機能を高めるとして咳などの治療に用いられてきた、肺の気が集まるとされるツボ。
場所 |
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鎖骨の外端下のくぼみからさらに指1本分下にいったツボ。 |
押し方 |
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ツボの反対側の手の中指で気持ちいいと感じる程度の強さで押し、押しているところが何となく緩んだようになるまで5〜10回深呼吸を行う。 |
監修/古賀直樹(こが なおき)先生
鍼灸学士・カイロプラクター・整体師
明治国際医療大学 鍼灸学部・鍼灸学科卒。1998年、中野坂上治療院を設立。著書に『ツボ療法ツボ体操の健康読本』(秀和システム)など。
イラスト/堀川直子